うちの子は大丈夫、という過信。探偵が語る「いじめ」の深刻すぎる現実

 

つまり、なんとなくやっていると思っているという思い込みが多く、明確な根拠はないが、自分だけは大丈夫シンドロームに陥っている保護者や大人が多いのだ。

保護者でなくても、様々な立場から「いじめは卑怯者がすることだ。」という声は聞くことができるであろう。

また、日々流れる報道で酷いいじめや、学校などによる隠蔽や不対応などのニュースを見て、心を傷めることであろう。

ここまでで、いじめが大して起きていないという考えが、あまりに現実を知らない考えであることがわかって頂けたと思う。

そして、いじめ問題に関わる現場と世間一般の乖離ともいえる状態が、現場で問題に携わる者から出てくる「もっと子どもたちと向き合ってほしい。」という声になっているのだ。

一つ告白すれば、私もこの仕事に携わるまで、こうした数字は知らなかった。

私が初めて探偵としていじめの証拠収集を行ったのは、平成16年のことである。

当時(今でもそうだが)、探偵業界はいじめ問題に関して専門的な調査活動を行っていなかった。

なぜ今でもそうだがというのか言えば、私が運営するT.I.U.総合探偵社がこの業界の中では、極めて異質であり、稀有な存在であるからだ。(これについては、後日、別項目で詳しく触れたいと思う)

そうした業界の中で、当時、私も子どものいじめに探偵までもが出張って、本格的な調査をするなど、相当変だと思っていたし、そもそも学校内に入れないのにどうやって調査するんだ?という疑問を持っていた。

だからこそ、私は初めの依頼相談を、断っている。

三顧の礼よろしく、私は依頼主の熱意に負けて、チャレンジという意味で調査を引き受けた。

それから平成28年ともなれば、すでに12年もこの問題に関わっている。

当初は目の前にいる子をとにかく救うことのみ考えて実行してきたが、その対処療法のみでは、ドミノ倒しのように、次から次へと頻発するいじめは止められないと思い始めた。

そうして、いじめ証拠収集の全無償化の流れやNPOの設立などと繋がるのだが、教育界で調査されているいじめアンケートなどの解答分析などを始めたのは、数年前のことになる。

私も一保護者で家庭人という立場もある。だが、調べてみなければ知らなかったことはたくさんあった。

だから、いじめの発生率や認知数などを見て、保護者として知らなかったことを恥じることはないと私は思う。

また一方で、いじめの実態については、研究者を含めて多くの人があまりに軽く見ている実態もある。

私はいじめの証拠収集を専門としている。詐欺師やストーカー、組織内での犯罪行為をも対象とした探偵業界でも難解事案を得意とした探偵社を運営する私が、調査をするとなれば、専門分野は実態解明につながる証拠収集となるのは至極当然なのだが、その分、私はその実態を自らの目で耳で見ているわけである。 

しかし、研究者はどうか?現場のレポートは、教員に任せ、教員は自らの責任を感じつつ、一定のフィルターもかけよう。

いわゆるバイアスがかかったレポートから何を読み取ろうというのだ

もちろん、フィールドワークから情報を得て研究を進める研究者もいるが、多くは、立場自体に利害関係を持っていたり、フィールドワークをしていない者だ。

初回号では、研究者が軽微ないじめだとするものが、実態としてどうなのかということをレポートしたいと思う。

image by:  Shutterstock.com

 

『伝説の探偵』より一部抜粋

著者/阿部泰尚

2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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