北海道新幹線。開業から2ヶ月で何が変わったのか?

 

新型機関車EH800の両数、20両に

現在(新幹線開業後)に青函トンネルを通過できるのは、新幹線車両と貨物用の新型電気機関車(EH800)のみとなっている。

2012年2月27日に国土交通省にて実施された「第4回整備新幹線小委員会」の配布資料(URLは下記参照)にJR貨物が提出した説明資料があり、その中(資料4ページ)に「専用の新型機関車(約20両)を導入する必要があり」と記されている。

それに対し北海道新幹線開業時点までに製造された新型機関車(EH800型)は17両だが、3月30日付の交通新聞によると残り3両の増備が発表された。

この3両が夜行列車用であったと推測され、仮に2012年段階のダイヤに当てはめると「北斗星」「はまなす」で2両、「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」の交互使用で1両(当然ながら予備機関車は貨物用の予備機と共用)運用と仮定すると、計ったように数値が一致する。

この新型機関車は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特別業務勘定利益剰余金にて調達(半額が助成金、半額が無利子融資)されており、これまで報道されているような「JR北海道が青函トンネル用の機関車を買う」予算がないという事実はない。

残り3両は上記内容とカシオペアクルーズの運行がなされるか否かを見極めてからの発注と推定され、JR北海道の報道ごまかし体質が問われるべきであろう。

 

最後に

このように明と暗がうずまいた北海道新幹線ですが、一方で奥津軽いまべつ駅の開業を盛り上げる活動(東奥日報2016年3月12日の記事も実施されており、奥津軽いまべつ〜木古内間がJRの青春18きっぷで唯一、新幹線に乗れるということを「積極的にPRし若い鉄道ファンを呼び込もう」という動きもあります。

前回の記事にもありますように、筆者自身1988年の青函連絡船最終便にも、2002年のスーパー白鳥一番列車にも(勿論「海峡特例」で!)、そして2016年の北海道新幹線一番列車にも乗って津軽海峡を越え続けてきましたが、今回が一番「希望のない」旅となってしまったのは、北海道新幹線待望論者である筆者としては悲しい限りでした。

ただ上記の展開を見るに、未来においては希望の持ちうる展開はまだまだ可能であると信じております。

開業ご祝儀需要がおさまる2017年度以降、JRグループがどのような施策(もちろん夜行列車や「海峡特例」の復活も含め)を打ち出してくるか期待しつつ、この連載を終えたく存じます。

いつの日か再び青函トンネルを走る「在来線列車」の車内で、読者の皆様とお目にかかれる日を楽しみにしております。

 

Source by: 整備新幹線小委員会 , 第4回整備新幹線小委員会配布資料 , 第4回整備新幹線小委員会配布資料(資料3)JR貨物 説明資料

 

客車隊報

著者/中尾一樹(海峡同盟 代表)
青春18きっぷやクルーズ列車等の情報を中心としたメルマガを配信中。旅行サークル「海峡同盟」では青春18きっぷで北海道に行けなくなる可能性が発生したことをきっかけに2001年に結成。最近は海峡特例を守ることを目的として、国土交通省・運輸審議会が主催する公聴会に参加し公述人として意見するなど活動を行っている。「海峡同盟」は2016年12月末に解散予定。

≪無料登録はこちらから≫

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け