売れっ子コンサルがプレゼン資料をA4の紙2枚しか作らぬ深い理由

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プレゼンとなると分厚い企画書をこれ見よがしに配り、何十枚もの資料をコピー。古き良き昭和のサラリーマンのような感もありますが…、実際、いまだこんな風に「とりあえずたくさん」の時間、資料、お金をかけないと気が済まない人や、それをありがたがる人が多いのだそうです。無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんは、これらがいかに「人生の浪費」であるかを説いています。

とりあえずたくさん

私が作る提案書は大抵、A4用紙2枚です。基本的には1枚なのですが、ついサービス精神旺盛で、2枚になっちゃいます。そういう話をすると、多くの会社員の方が、「2枚なんて少なすぎじゃないですか? じゃあ、表紙もないってことですか?」と、ものすごい勢いで反論してきます。

「じゃあ、何枚だったら少なすぎじゃないの?」と聞くと、普段は20枚は作っているだの、30枚になることもあるだの、大きな枚数を言います。その枚数の大小は何なのかと聞くと、「企画の規模」「提案の気合い度」など、まあいろいろな答えが返ってきます。つまり、本人たちも、「提案書の枚数は、何によって増減するのかということがきちっと分かっていないのです。

例えば、企画の規模が大きければ、別に提案書の枚数を増やさなくても、「この企画の規模は、これぐらい大きいです」と文字で表現すれば数行で済みます。提案の気合い度をそこに表したいのならば、「今回は気合いが入ってますよー!」と冒頭で口で言えばいいだけです。

そもそも「表紙がないんですね」という指摘がいつも驚いてしまうのですが、なぜ表紙が要ると思うのかが不思議です。あなたの言う「表紙」には何が書いているのか、と聞いてみると、タイトルと自分の名前だと言います。それだけだったら、1枚目の冒頭で2行で済みます。

さらに、提案書を「薄い」「厚い」と表現しているのがもうすでに前時代的であって、印刷した紙をホチキスで束ねて会議室で配る、なんていうやり方をいまだにやっている証拠です。会議で必要ならば、会議よりも前に出席者全員にメールで送っていれば済む話です。

また、プロジェクターを使うプレゼンであれば、プロジェクターに書いていることを、そのまま手元の用紙にも印刷していて、しかもそれと同じことを口頭で説明するというのはダブりすぎてあまりに時間の浪費です。

当日発表で手元の用紙が当日配布の必要があるなら、用紙の内容と、プロジェクターの内容と、口頭の内容、うまく3分割すればものすごく効率的なのに、全部同じものをダブらせて表現する、という無駄をしたがるのが、不思議でなりません。

このように、多くの会社の会議を見てみると、「うわー、ものすごーく無駄なこと、こんな時代になっても、いまだにやってるんだな……」と思うことに、たくさん遭遇します。

たった2枚だけの提案書を出すと、提案する相手にも2通りの反応が見えて面白いです。

まず、「提案書が薄いから、判断材料が少なくて判断できない」と言い出して、すぐ投げ出す人

そして、「この部分は自分は知らない。詳しく教えてくれる?」とその場で判断材料が必要な部分を指摘して、口頭で聞いたりすぐ調べたりして、すぐ判断できる人

もう最近となっては、あまりに時間の無駄なので前者のような相手には提案することすらなくなりましたが、提案書の厚さは、判断材料の多さだと勘違いしている人がものすごくたくさんいるんですね。相手の判断を仰ぐ提案書なのであれば、相手が判断に必要な材料だけをそこに書けばいいだけで、それが何十枚にも及ぶわけがないのです。

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