仲間外れや無視…。子どもを自殺に追い込む「軽微ないじめ」の危険性

 

大人に関する問題でも無視や仲間はずれは、その被害を受けた者の心を切り裂いてしまう。
別件で、ママ友ランチ外しという事例もある。これは、私がNPO法人ユース・ガーディアンの相談カードを配っていたところ、小学生から相談を受けたもの。

相談をしてきた男子児童は、母親の様子がおかしいことから、拙いボキャブラリーで母親に様々な質問をしたそうだ。

そして、クラスの同級生の母親たちが、週に2回ほど、様々な場所でランチ会を開いていることがわかった。
当然、自分の母も、このランチ会に参加していたそうなのだが、いわゆるボスママがこの母親を意図的に、ランチに誘わず、無視するようになった。

彼の母は、大人だから気にしないようにしようと思っていたそうだが、他のママ友もよそよそしくなり、明らかに自分が浮いている状況になっていることがわかった。
そして、様々な情報源であるママ会から外されたことで、揃いで作る子供のイベント時の持ち物などを教えてもらえないなど、実質的な弊害が起き始めた。

そこで、彼の母は勇気を出して、このボスママにメールをしたが、その反応は、ボスママの怒りとそのメールの公開であった。

個々人間のやり取りであるメールを、公開することは、人としてルール違反であろう。
それも、力関係が上位であれば、公開処刑にもなり得る。

(ただし、大人社会ではこうした行為をする人を危険人物とみなすであろう。本人はしてやったりなのだろうが、その実、周囲の心は離れるのである。)

それで気を病み、彼の母親は体調を崩し、寝込むことや突然泣くなど情緒が不安定になってしまった。

その後、彼の母は「うつ」だと診断された。ママ友いじめによる精神的被害である。
これを弱いというなら好きに弱いと思っていればいいだろう。

私はそうは断じて思わない。

私の考えは、保護者も子どもから見れば、見本であるということだ。
そうなれば、教育者の端くれ程度にはなるだろう。その見本が、様々な知恵や経験を持ちながら、未だに下らないいじめをしている、そして、それを咎めず、何もしないのであれば、なんとも情けないダメ人間の集団であるということだ。

こんな環境で、子どものいじめが起きないはずもない
それに、これを咎めることができない大人が、偉そうに子どもには、いじめを止めなさいという資格もないだろう。

論点がズレてしまったが、元に戻せば、大人ですら、無視や仲間はずれは大きなダメージを被るのだ。
これを、どこでもあるもの、軽微なものと切り捨ててしまっては、何の改善にもならないであろう。

前述の2つの事例は、基本的ないじめの構造で理解することができる。
この基本構造から、どのような影響を与え、具体的に誰がどう動くかによって、発生後の回復を図ることができ、また、いじめが発生しないように環境を整備することもできる。

そのポイントや構造については、次回詳しく説明したいと思う。
また、次回は調査についての手法を一部公開する。
なぜ、担任が訊いた時は答えなかったのに、私が訊いた時は、素直に話し始めたのか?などその違いを公開しようと思う。

image by:  Shutterstock.com

 

『伝説の探偵』より一部抜粋

著者/阿部泰尚

2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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