今夜はソニー・ロリンズで。JAZZの巨匠が「85歳」にして想うこと

 

85歳になった今でも、現役のジャズ・サックス奏者として活躍するソニー・ロリンズ。ジャズ・モダンの全盛期に活躍した一人として名を馳せ、ジャズ界の大御所となった人物です。彼の「生きざま」に迫りました。

ジャズ界のキングはこうして生まれた

ニューヨークのハーレム、かの有名なアポロシアターからもそう遠くない場所で生を授かった一人の少年がいました。セオドア・ウォルター・ロリンズ、彼は7歳の時にルイ・ジョーダンの演奏を聞いたことがきっかけで、その後の長いジャズ音楽人生がスタートしました。

のちに彼は「ソニー・ロリンズ」として、ジャズ界の大御所として活躍します。

御年85歳となった今も、肉体的な衰弱をものともせず、その活動に対する意欲は止まることを知りません。

まさに「生きる伝説」と呼んでも過言ではないでしょう。

また、意外と知られていませんが、禅やヨガといった東洋哲学にも造詣が深い彼は、数回の来日公演を果たしており、多くの日本人ファンをも魅了してきました

2009年イタリア・ローマでのライブ

2009年イタリア・ローマでのライブ

 

それでは、サックス奏者として、現役65年以上を迎えた彼の現在の心境とジャズ人生、哲学についてご紹介しましょう。

弱冠20歳だった当時、同世代の仲間であったジャズの帝王、マイルス・デイヴィスをして「若いアーティストにとってすでに神様みたいな存在だった」と言わしめたソニー。

ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツは、ミック・ジャガーに「最高のサックス奏者は誰?」と聞かれ、ソニーの名前をあげたそうです。

こういった大御所たちの逸話からもわかるように、その確かな実力で同業者からも圧倒的な支持を得ていたソニー。

彼はどのようにして、名サックス奏者として不動の地位を築いたのでしょうか。

フランク・シナトラとの出逢い 恵まれた環境でチャンスを掴んだ幼少時代

テレグラフ紙は、彼の少年時代について以下のように記しています。

アメリカ領ヴァージン諸島出身の両親のもとに生まれたソニーは、ニューヨークのハーレムで育ちました。

ある日、学校を訪れたフランク・シナトラにインスパイアを受けたことで、彼の音楽キャリアが始まりました。

前述したように、ルイ・ジョーダンを聴いた影響で、まずはアルトサックスから始めたものの、16歳のときコールマン・ホーキンスに憧れテノールサックスに転向。

さらに彼はモダン・ジャズの起源ともいわれる「ビバップ」にすっかり魅了され、“ビバップ漬け”の10代を過ごしたと、オフィシャルサイトのバイオグラフィーで語られています。

音楽人生のメンターであるモンクのアルバムに参加

彼はチャーリー・パーカーに師事した後すぐに、のちの音楽人生における“指導者”となるピアニスト、セロニアス・モンクのもとで活動するようになります。

他にも名だたるミュージシャンとの出逢いを経て、着実に音楽の道を邁進。

これがすべて20歳になる前の出来事というのですから、才能ありきとはいえ、かなり恵まれた環境にいたと言えます。

その後、20代のソニーはジャズ界の歴史上に残るビッグネーム達と次々共演を果たすことになります。

例えば、チャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、マックス・ローチ、そして彼の師でもあるセロニアス・モンクなど、ジャズを語る上で外せない大御所ばかりです。

さらに、彼はモンクのアパートに頻繁に出入りするようになり、1957年にリリースされたモンクの名盤「Brilliant Corners」に参加することができました。

自分は「最後の生き残り」 仲間や師匠の想いを背負う責任と共に生きる

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ソニーは、こうしたジャズ仲間や師のことを思い、現在の心境をこう語ります。

「彼らはもうここにはいない。だから自分が彼ら全員を代表してここに立っているという気がするんだよ。だって僕は彼らの中の最後の生き残りだからね。なんだか神聖な責任というものを感じているよ。たまに彼らのことを呼び起こさなきゃ、ってね」

彼は2012年から活動を休止していますが、これは呼吸器の疾患が原因のため「やむをえない」決断でした。

また彼は力強くこう語り続けます。

「僕は音楽活動において全てやりたいことをやりきったと思っていないんだ。だから、もちろんこれからも続けていきたいと思っているし、そうできることを祈っているよ」

85歳にしてこの情熱とモチベーションを保ち続けることは、普通なかなかできることではありませんね。

その言葉通り、彼は今もスタジオで録音された音源ではなく、ライブパフォーマンス時の音源を収集したアルバムを作成中とのこと。

さらに、彼は今までどのような気持ちで音楽活動を続けていたのかについても語ります。

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