国語指導のカリスマ福嶋隆史が語る「日本の国語教育に足りないもの」

 

過去には小学校で教師をされていた経歴を持つ福嶋さんですが、それを辞めて、今の「ふくしま国語塾」を始められた経緯を教えていただけますか。

教師になる前の教育実習の時点から、教育現場に対しての不信感は、ものすごくあったんですよ。

具体的に例を挙げるなら、アクティブラーニングですね。子どもの自主性に任せて、何も教えない。ひどい授業になると「さぁ、今日は何をやろうかな? 考えてみよう」って始まるんですよ、国語の授業で(笑)。90年代の話なんですが、とてもショッキングでした。これで本当に国語力が付くのかって。……要は、子どものことを考えてないんですよ。教育委員会も校長も教師も。「学習指導要領に則ってやっていればいいんでしょ」っていう考えで。

でも、そうだからといって教師になるのを止めるというのもなんだかなぁと思って、免許を取って都内の小学校に赴任したんですが、そんな感じなので、校長や副校長などとぶつかることも多かったんです。

教師を辞めるまでの5年間、いろんな学校で教えていたんですが、どこも授業がひどすぎて、子どもの顔がどんよりと淀んでいるんですよ。ただ、何とかしないといけないという気持ちはあったんですが、一教員としての自分が現場を変えていくというのは、やはり限界がありました。小学校教師だったので、全ての教科をレベルアップさせないといけないですから。

そんななかで、自分が唯一やりがいを持って教えられたのが、子どものころから得意だった国語だったんですね。それもあって、教師を辞めたら国語の専門塾を開こうと、ずっと思っていたんです。

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いまの話で出てきたアクティブラーニングのような教育ですが、これがもし行き過ぎてしまうと、どういう風な影響が出てくると思われますか。

言葉による表現もできない発信も受信もできないっていう人間ばかりになりますよね、間違いなく。

要はグループ活動ばっかりして育つから。独りで考えるっていうことをしないんですよ。だから仲良くできる能力というか、人間関係構築能力は高まるかもしれません。でも、そのレベルが上がっていかないと思います。なあなあで仲良くなることはできても。それこそホリエモンみたいに、突破する能力を持つ人はいなくなっちゃって、自信が持てない人ばっかりになると思います。

だって自信って、表現して、理解してもらえることで、初めてつくものじゃないですか。表現ができない、理解もできないじゃ、どっちもダメなわけですからね。

ただ、そういう教育も10年で切り替わると思います。学習指導要領って10年ごとに振り子のように行き来しているので。だから、10年で戻るとは思うんだけど、10年じゃ遅いですよね。失われた10年じゃないですけど、将来きっと批判される日が来ると思います。

小学校の教師を辞めて、今の国語塾を立ち上げて間もないころに、最初のメルマガを配信し始めたんですよね。そもそも、メルマガというものを書こうと思われた、最初のきっかけは何だったんですか?

当時、わらし仙人という人の本を読んでたんです。するとそこに“本を出すための方法”とあったんで、読んでみると“メルマガを出すこと。すると3か月で出版社から連絡が来る”って書いてあったんですよ。

塾の知名度も上げたい思っていましたし、それならっていうことでメルマガを始めました。ところが、そこから声がかかるまで、実際は3年ほどかかったんですけどね(笑)

現在は、有料メルマガを含めて3本のメルマガを配信されている福嶋さんですが、そういう風に長くメルマガを続けるための秘訣って、何かあるんですか。

私の場合は、文章を書くのが全然苦じゃないっていうのが大きいんでしょうけど、あとはやっぱり“締め切り厳守”ってことじゃないでしょうか。

有料メルマガは以前からよく購読してて、あるジャーナリストのメルマガも最初の頃は購読していたんです。でも、配信日に届かないことがよくあって「何だ、こりゃ」って「有料なのにいいの?」って思ってたんです。……今はどうか知らないですけど。だから、そこでしょうかね。自分で自分を厳しくするみたいな。

私は無料メルマガの時点で、出すと言った日は守ってましたよ。間に合わなければ、夜中まで起きて絶対出すぞって感じでやってましたから。だって、それを延ばしてしまうと、延々と延びるじゃないですか。……まぁそれと、やっぱり読者がいると思うと楽しいから、それで書き続けているというのも、もちろんありますね。

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