沈みゆくオートバックスの「誤算」。業界1位に何が起きたのか?

沈みゆくオートバックスの「誤算」。業界1位に何が起きたのか?
 

気軽に立ち寄れる店舗環境の構築が必要

オートバックスがジェームス唐木田店のような施設や設備といった「ハード」を同様に投入することは難しいでしょう。ただ、女性やシニア層が来店しやすい雰囲気や店舗環境を構築することは難しくはありません。そのためには、接客サービスといった「ソフト」が重要になります。女性やシニア層、自動車に詳しくない人でも気軽に来店できるようにするべきです。

私見的要素が強くなりますが、カー用品店の接客サービスは改善の余地が大きいと考えられます。おそらく、カー用品は専門性が高い製品特性があるため、製品の説明だけをしっかり行えばいいという考えが蔓延していたのではないでしょうか。笑顔での接客や丁寧な接客といったことは疎かになっていたと考えられます。そのため、それに嫌気を感じた客がカーディーラーや家電量販店などに流れてしまったのでしょう。

オートバックスは10年5月に「中期経営計画」を発表し、「接客接遇を強化」を盛り込みました。14年4月の「中期経営計画」には「顧客価値の再構築による競争優位性の確立」を盛り込んでいます。15年7月には「2014年 中期経営計画」の見直しが行われましたが、事業戦略骨子に「お客様とつながり続ける関係の構築」という文言が加わりました。

同社の中期経営計画からは、「接客サービスの強化なくして業績の回復はない」という認識を強く感じ取ることができます。認識は間違っていません。ただ、認識に実態が追いついていないというのが現状のようです。まだまだ取り組みは十分とは言えない状況でしょう。気軽に立ち寄ることができる雰囲気と店舗環境の構築が急務となりそうです。

image by: Wikimedia Commons

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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