日本が呼ばれている。ハーバード大学が教える「日本の価値」

 

なぜ、日本人だけが体現できるのか

倫理は、衣食足りて礼節を守るというほど、極端な格差社会ではなく、最低でも衣食が足りた時代にしか、多くの人が体現できないが、この衣食が足りている人が日本は多かった。総中流社会という社会を実現できたことによると見る。

もう1つが、教育である。江戸時代、寺子屋での教科書は、論語をベースとしていたことで、国民の大多数が教育を受けたことで、論語的な素養が一般的になり、その上に商売人の倫理を説いた石門心学や二宮尊徳のビジネス哲学、渋沢栄一の合本資本主義、近江商人の三両一両得などの倫理と経営が一体になった経営哲学が生まれたのである。その影響を受けて、松下幸之助の水道哲学なども出た。

従業員を一番守るべき人と見て、その従業員が独り立ちすることを応援し、お客と地域社会の役に立つことが重要という哲学を古くからある企業は持っている。上下の信頼、社会との信頼により企業は成り立つという哲学を持っている。このため、日本人、日本企業は困っている人を助けるという行動に出るのである。

論語は中国で生まれたが、論語は大夫の学問であり、大夫とは科挙の試験に合格した官僚のことである。上流階級の学問であり、民衆には関係ない学問であった。このため、今でも民衆に浸透していない。

中国は、近代以降、国が戦乱になり、共産党は論語を弾圧したので、国民に論語を教えることはなかったのである。やっと、習近平政権で、論語を認めて、学習し始めるようであるが、今の中国の状況では、どこまで定着するかわからない。それは、もう1つの衣食足りて礼節を守るができるかどうかにかかるようだ。格差社会を変革できるかどうかである。

その他社会では、論語というような倫理体系を確立した学問がないので、体系的に教えることができないのである。その代わり、宗教が存在して、宗教哲学として存在するが、宗教を信じる必要があり、信仰の自由で国として強制ができないことになる。

もう1つが、格差の少ない社会が西欧の一部と日本にしかないことである。

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