反撃のマクドナルド。「裏メニュー」戦略に隠されたヒットの法則

mba20160625
 

2016年第1四半期、ついに営業黒字に転換したマクドナルド。6月15日には285通りもの組み合わせが可能な「裏メニュー」を投入し、ますます攻勢を強めています。はたして完全復活となるのでしょうか。無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんが、劇的な変化を遂げたマクドナルドのマーケティング戦略と財務諸表を分析、同社の今後を占います。

史上初! 285通りの裏メニューの投入でマクドナルドは完全復活なるか?

6月15日からマクドナルドに「裏メニュー」が登場しました。定番のハンバーガーメニューにハラペーニョやクリームチーズソース、スモークベーコンのトッピングをお好みで追加可能で、組み合わせは実に285通りにも上り、自分の好みのハンバーガーを注文できる楽しみが増えたことになります。

裏メニューといえば、吉野家の「つゆだく」や「ねぎぬき」、「頭の大盛」などが有名ですが、根強いファン顧客を獲得するという意味で自分仕様の注文ができることは大きな差別化要因と成り得ます。

厳密にいえば、マクドナルドが今回投入した裏メニューは期間限定であり、吉野家などの常連客に対する裏メニューとは一線を画すものですが、裏メニューという特別感を醸し出すネーミングは絶妙と言わざるを得ません。

今回の裏メニューをマーケティング戦略的に分析すると顧客マクドナルド双方にとってのメリットが浮き彫りになります。

たとえば、顧客にとっては先ほどもお伝えしたように自分だけのオリジナルメニューを作れるワクワク感や選ぶ楽しみが増えることになります。組み合わせによってはまったく違う商品に変わる可能性もあるのです。また、仲の良い友達同士で行けば、誰の裏メニューが一番おいしいかという話題で盛り上がることもあるでしょう。

このような顧客のメリットは、取りも直さずマクドナルドのメリットにもつながります。裏メニューの対象はすべての既存メニューに適応されるため、お客様がこれまで食べたことのない商品で裏メニューにチャレンジするなど既存製品の掘り起こしにもなりますし、次はどんな組み合わせにしようかとリピートにもつながります。また、ファーストフードレストランとして食事を提供するだけでなく、楽しい場を提供できれば付加価値は高くなるといえるでしょう。

裏メニューという個別対応も、通常のプラットフォームを活用したマスカスタマイゼーションで対応可能で、比較的簡単に多くの新商品を提供できるというメリットを享受できるものの、オペレーションに大きな支障を来すことはありません。

このような背景を勘案すれば、今回の裏メニューキャンペーンはマーケティング的に大きな成功を収めそうな期待が膨らみます。

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