「蜜月」も1年で破局。新陳代謝できぬ孫正義ソフトバンクの心配な未来

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去る6月22日、ソフトバンクは同社副社長ニケシュ・アローラ氏の退任を発表しました。米国のIT大手「Google」でCOOを務めていた2014年に165億円とも言われる破格の金額でソフトバンクに「移籍」したニケシュ氏。同社の孫正義社長も「私の後継者候補筆頭」と認めており、蜜月の関係といわれていた中での突然の退任劇に驚きの声が上がりました。ケータイ/スマホ・ジャーナリストの石川温さんも、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、今回の件を「残念でならない」とバッサリ。孫社長の判断に辛口の意見を述べています。

毎晩、電話で話し合うラブラブアピールから1年で破局

6月21日、孫正義氏の後継者と言われていたニケシュ・アローラ氏が代表取締役を退任するという発表があった。翌日に行われた株主総会で孫社長は「60歳の誕生パーティで、ニケシュに社長の座を譲ろうと大々的に発表するつもりだったが、60歳を目前にして、社長をまだまだ続けたいと思った。その気持ちを伝え、ニケシュに辞めてもらうことになった」と真相を語っていた。

表向きの理由はそうなのだろう。しかし、ここ最近、アリババやガンホー、スパーセルなどの株式を売却し、現金化を急ぐニケシュ氏と孫社長の間で意見の食い違いが出始めてきていたのは明白だ。これまで、散々、ニケシュ氏のことを「後継者候補」と持ち上げ「朝起きた時も、寝るときも常に電話して意見交換をしている」と、まるで恋人のような存在だと明かしたニケシュ氏のことを急に「考え方が合わないから」と辞めてもらっては、孫社長が「見る目がなかった」ということになりかねない。

ここは「まだまだ社長をやりたい」と自分のわがままを理由にすることで、丸く収めたかったのだろう。

今回の騒動を受けて、とても残念な気がしてならない。孫社長がこれまで「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金をため、40代で大勝負し、50代で事業を完成させ、60代で後継者に譲り渡す」と事あるごとに語ってきた。
そのためにアカデミアを立ち上げ、結局、後継者候補が見つからなかったことで、外部からニケシュ氏を連れてきたにも関わらず、結局「まだやるもん」で後継者問題が棚上げされてしまったのだ。もし、本当に60歳の誕生日で、ニケシュ氏に社長の座を渡していたら、本当に素晴らしい経営者として、後世まで語り継がれたと思う。

最後の最後で、社長の座にしがみつく孫社長の姿は見たくなかったな、というのが本音だ。まぁ、サラリーマン社長と違って、オーナー社長なので、孫社長の好きなようにやればいいのだが、この先、孫社長に何かあった後のソフトバンクがどのような姿になっているのか、本当に心配になってきた。今後、孫社長が60代になってもIT業界で嗅覚鋭くベンチャー企業を見極められるかが、注目と言えそうだ。

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