「不倫相手と一緒になりたい」離婚に応じぬ妻とうまく別れる方法

shutterstock_355225064
 

やっぱりドラマの中だけのお話ではないようです。今回、無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』に寄せられたご相談は、「離婚に応じてくれない配偶者とうまく別れる方法」。なんでも、妻と別れて不倫相手と一緒になりたい、とのことなんですが…。現役弁護士があくまでドライに回答してくださっています。

うまく離婚するための方法はないでしょうか?

□相談□

不倫しています。嫁が弁護士に依頼して不倫相手に対し、もう私と会わないという確認書にサインをさせたため、会えない状態です。嫁は、私と別れる気はないそうですが、私自身は不倫相手と一緒になりたいと思っており、上手く離婚する方法はないかと考えています。 (30代:男性)

□回答□

「上手く離婚する方法」とのご相談ですが、ご回答としては「奥様を説得して協議離婚するしか手立てはない」ということになると考えます。ご相談者様のように、不倫をしているような場合、民法770条1項記載の「離婚原因」(不倫の場合、1号の不貞行為に該当)を自ら作っていることになります。離婚原因とは、離婚の訴えを起こすことができる「理由となる原因」とお考えください。

ただ、離婚原因を自ら作っておいて、自分で離婚の訴えを起こすことは(虫がよすぎるため)、基本的にできないとお考えください。これを「有責配偶者からの離婚請求」と言います。

実際裁判例で見ても、基本的に有責配偶者からの離婚請求は認められないのが裁判実務です(最判昭和27年2月19日)。例外的に、別居期間が36年にもおよび、未成熟子もおらず、離婚しても相手方が経済的に過酷な状況に追い込まれないなどの事情が揃えば、有責配偶者からの離婚請求が認められることもあります(最判昭和62年9月2日)。したがって、今回のケースで裁判上の離婚が認められるということはまずありえません

そのため、手立てとしては協議離婚しかないでしょう。もっとも、協議離婚が成立するとしても、不倫をしている以上、奥様から損害賠償請求(不法行為に基づく損害賠償請求。民法709条参照)が考えられます。ちなみに、不倫にまつわる損害賠償請求は、夫に対してだけではなく、不倫の相手方に対しても行うことが可能です。

仮に離婚できたとしても、離婚に伴う財産分与が生じます(民法768条)。ご相談内容からは定かではありませんが、お子様がいれば養育費の支払いも免れられません。

このように「おカネ」の問題は、離婚時には必ずつきまとうものです。それでも現在お付き合いされている方と一緒になりたいという覚悟があるのなら、これまで述べたようなことを踏まえつつ、奥様としっかり話し合いをされるのが良いと思います。

最後に、老婆心ながら付記します。上記のように、場合によっては離婚後、金銭的に迷惑がかかることを予め、今お付き合いされている方にもお伝えしておいた方が良いのではないかと思います。それを知って、関係が冷めてしまうことも無きにしも非ずですので。

[関連情報]:これがないと離婚裁判が起こせない。5つの「離婚原因」 

image by: Shutterstock

print
いま読まれてます

 

知らなきゃ損する面白法律講座
わかりやすくて役に立つ弁護士監修の法律講座を無料で配信中。誌上では無料で法律相談も受け付けられます。
<<登録はこちら>> 

  • 「不倫相手と一緒になりたい」離婚に応じぬ妻とうまく別れる方法
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け