EU離脱で引き下がるほどバカじゃない。巧妙で残忍なイギリスのやり口

 

イギリスの統治は、「巧妙残忍」の二つの面を持っていた。たとえばインドとの間では、香料や綿製品の貿易を行い、イギリスはインドから多くの製品を購入して「ポンド」で代金を支払った。ちょうど、現在、日本が貿易でドルを決済に使っているように、その時その時の基軸通貨で貿易は決済される。

ところが、インドではポンドは使えないからインドは貿易で得た代金をロンドンの銀行に預けた。そして数世紀を経てインドがイギリスの銀行からポンドを引き出したときには、何回かのポンドの切り下げによってタダ同然」になっていたのである。

これは日本もそうで、戦後1ドル360円時代に日本人が必死になって働いて貿易黒字を出し、ドルを手にしてそれでアメリカの国債などを買った。でも、ドルの価値が徐々に低下して、一時は1ドル80円までになった。つまり、日本人が稼いだドルはその価値が4分の1になったのである。アメリカはうまくやり、日本人はインド人と同じく割を食ったのだった。

今回のイギリスのEU離脱を、そんなイギリスの歴史と民族性から冷静、沈着に考えて見ると、日本で報道されるようなお花畑の解釈ではまた日本はただ働きを強いられるようになるだろう。

image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

 

武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋

著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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