忍び寄る「極右」旋風。世界はやはり第二次大戦前夜に酷似してきた

 

ソロスの行動

著名投資家ジョージ・ソロス氏は、欧州議会で演説して、英国のブレグジットは、金融と難民の2つの迫り来る危機を悪化させるとした。

そして、ソロスは、24日のブレグジットでドイツ銀行株の大量空売りを仕掛けたようである。この行動からブレグジットの次の焦点が、ドイツ銀行のデリバティブ取引の損害やハイブリッド証券の暴落などに市場関係者の関心は移っている。なんせ、ソロスが現役復帰して、その最初にドイツ銀行の大量空売りであるから、これは大変である。

ポンドの暴落で、デリバティブ取引で大損をした可能性がドイツ銀行にはあるのではないかと見ているようである。

デリバティブの市場規模は巨大だが、証券取引所などの公開市場を介さない取引が主流である。当事者同士が相対で取引を行うデリバティブのことを「店頭デリバティブ」と呼ぶが、店頭デリバティブの取引残高は493兆ドルに上る。

店頭デリバティブ取引の主役は、米シティグループやJPモルガン・チェース、ドイツ銀行などの国際金融グループである。

ドイツはファンダメンタルズの面で、先進国の中で最も良好とされているが、そのドイツの株式市場が暴落した。

その理由について、「ドイツ銀行に対する漠然たる不安」を挙げる声が少なくない。ドイツ銀行株は、リーマンショック後の最悪期よりも割安になっている(6月29日付ブルームバーグ)。ドイツ銀行が保有するデリバティブの残高が巨額であることに加え、レバレッジ比率(企業の自己資本に対する有利子負債等の割合)が47倍と高い(世界大手金融機関のレバレッジ比率の平均は24倍)と推測されているからである。

デリバテイブを扱う大手金融機関に巨額損失が発生している可能性が高いが、デリバテイブの多くは数カ月後に満期を迎える。このため数ヶ月後に巨額の損失を抱えた金融機関がハイブリッド証券のトリガー発動に追い込まれるのではないかとの観測が高まるようだ。

また、ドイツ銀行と英国の銀行は同様である。そして、銀行が発行した偶発転換社債(ハイブリッド証券)のパニックによりリーマンショクと同様な金融恐慌が起きる可能性が出ているようである。そこに目をつけて、ソロスは勝負を仕掛けてきたのかである。

リーマンショック時、その危機を回復させたのは、シェールオイル企業と中国であるが、その2つともに、現在、調子が良くない。

英国離脱で石油価格が下落して、シェール企業が大量に発行しているジャンク債の恐怖指数が急上昇しているし、中国の工業指数は50と、ここ数年の最低になっている。

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