元少年に死刑判決で一斉に実名報道へ。なぜ実名・匿名で揺れるのか?

 

毎日新聞はその理由をこう書いています。

少年法は少年の更生を目的としています。死刑確定でその可能性がなくなるとの見方もありますが、更生とは「反省・信仰などによって心持が根本的に変化すること」(広辞苑)をいい、元少年には今後も更生に向け事件を悔い、被害者・遺族に心から謝罪する姿勢が求められます。また今後、再審や恩赦が認められる可能性が全くないとは言い切れません。

屁理屈を書いて、「実名報道に切り替えるべき新たな事情はないと判断しました。」と結論付けています。

まず、広辞苑をひいての屁理屈は笑うしかありません。「心持が根本的に変化する」ことについて、どうして実名報道が「心持の根本的変化」の妨げになるのかさっぱり分かりません。少年法が言う更生とは、罪をつぐなった後に平穏に社会生活を送ることで、その妨げにならないように匿名をメディアに義務付けているのであって、広辞苑の言う「心持の変化」の為ではありません。

ホント、これを書いた奴の顔を見てみたいですよね。理由の後半、「再審や恩赦が認められる可能性」に関しては、一定の説得力がありますが、これって極めてまれですよね。そのまれな可能性と、国民の知る権利、死刑対象者の「知ってもらう権利」とどっちが大切かって話です。

私はそもそも、各メディアが理由にしている「更生の可能性がなくなったから実名」という考え方自体違うと思うんです。かつて共産主義国家では、犯罪報道全てが当局のコントロール下にありました。つまり報道されない限り、その国の中では、殺人事件も窃盗も無いことになるんです。

中国でかつて報道を完全に共産党支配下に置いて、共産主義の宣伝以外の一切の犯罪報道が封じられていた時期に、日本の「進歩的文化人」は、「中国では、みんなが平等で満ち足りてるから窃盗など一切の犯罪が無い」と本気で信じていました。自由な報道機関が存在しないってことの問題点は、この一事で明らかですよね。

 

辛坊治郎メールマガジン』より一部抜粋

著者/辛坊治郎
「FACT FACT FACT」をキーワードに、テレビや新聞では様々な事情によりお伝えしきれなかった「真実」を皆様にお伝えします。その「真実」を元に、辛坊治郎独自の切り口で様々な物の見方を提示していきたいと考えています。
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