憲法9条を守ろうとする人が「自衛隊は大切」とは絶対に言わぬ二枚舌

 

まず「武力」ですが、憲法で言う「武力」は「自分の生命を守るための武力」(正当防衛)は禁止せず、「相手の威嚇、国際紛争解決」のための武力を禁止しています。従って、「専守防衛」の自衛隊の武力憲法には違反しません。
また、国際的に「軍隊」というのは一定の規則があります。これは長い歴史の中で決まり、具体的には約100年ほど前に国際的な約束をしている「ハーグ陸戦条約」などで明記されています。

それによると、「軍隊」というのは、「指揮命令系統が明確で、軍服(普通の人と異なることがすぐ分かること)を着用し、民間人に被害を与えず敵国に侵入できる」などでそれを守れば戦争で生じた捕虜の生命なども守られます。
つまり、武力というのは「敵国に侵入できる軍隊」であり、「交戦」とは当然ですが敵国の土地でも、自分の国でも戦闘行為を行うことを言います。

だから、日本の自衛隊のように「専守防衛」で「敵国に踏み込まない」というのは、もともと戦争ができないので、交戦権も要りません。ただ、世界にこのような武力は自衛隊しかないので、多くの人は「自衛隊は軍隊ではなく、交戦権がなくても関係ない」と言うことが分からないのです。

つまり、参議院選挙で憲法改正が話題にならなかったのは安倍首相が焦点にしなかったのではなく、現状を見ると、もともと憲法9条を改正する必要が無いからです。

この点で日本社会は「憲法を改正しないと自衛できない」と錯覚していることと、憲法9条を守ろうとしている人が「自衛隊は大切だ」と言わないという二枚舌を使っていることに問題があるのです。

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武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋

著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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