苑内に入りすぐ目の前の池を見ようとするものの、正面には綺麗に剪定された松が邪魔して見えないような配慮がなされています。「目隠しの松」です。松はわざと池や庭園全体を隠していて、その後に展開する景色への期待を高める効果があります。
職員の案内に従って少し進むと、外腰掛(そとこしかけ)が見えてきます。これは茶室・松琴亭(しょうきんてい)への待合所で茶会に招かれた客はここに座って待機するものです。外腰掛の目の前には薩摩藩の島津家から寄贈されたソテツが植わっています。ソテツを植えたりするのは江戸時代初期の流行だったそうです。庭の一箇所に異国風のものを取り入れアクセントをつけています。
外腰掛から茶室に向かって歩くと池には石橋が渡されていて天橋立を見立てた光景が目に飛び込んできます。手前には沢山の形の同じ丸みを帯びた黒い石が池の岸に敷き詰められていて州浜が広がります。この州浜は明石の海に見立てている光景です。