なぜ少女はついていったのか? 探偵が見た「悪徳AVスカウト」の生現場

 

一応、保険のため、彼には外で待機していた調査員に尾行をしてもらい家や家族構成はしっかり把握させてもらった

なんと、この男は、千葉県の一戸建てに住宅ローンを組んで家族と普通に暮らしていて、奥さんは夫が映像関係の販売の仕事をしていると聞かされていた。

子どもは小学生の女児と幼稚園に通う男児の4人家族であった。

一応、今後のためにもご挨拶をさせてもらい、家でお茶をご馳走になっておいた。

本職探偵を相手にするということは、こういうことである。

住宅ローンをどうやって組んだか?というのは、彼もさすがに調べるのはやめてほしいということであった。

彼は社長と名乗ったが、その実、それは少し違うのだ。

私は彼の家族には仕事の話はしないという約束のもと、全体概要を聞き出している。

この社長と名乗る男は年代としては40代前半。

彼が事務所として構える雑居ビルは1フロアで60平米程度で実際は、屋号として42の芸能プロダクションやレッスン、撮影会社が入居している。

いわゆる名前だけあって、都合の良いものをその場で使うというのが彼らのシステムであり、42社のうち、2社が法人で、法人の登記は地方にあり債務のない休眠中の株式会社を数万円で司法書士から購入したものである。

残りの40は法人ではなく個人事業主という扱いであるが、開始届もなければ、何もしていない、単純に適当な屋号を名乗り勝手に営業しているに過ぎないインチキなものであった。

構成するメンバーは、およそ30人前後。

ナンパやブラブラしている若者のグループに、キャッチをしてきたら、いくら払うという成功報酬システムを取っている。

ちなみにテレビ出ているとか、芸能をやっているという在籍者はおらず、せいぜいいて、アダルトビデオの企画物の女優、つまりは数足し要員のような子がいるレベルであり、業者としての繋がりは、「風俗系」「アダルト系」「テレビに出ない雑誌に出ないグラビア系」などだった。

また、詐欺まがいの行為で、クレジットカードを作らせて、キャッシングでダンスレッスン料を支払わせたり、宣材写真の撮影代を奪うなどは常習的にやっていた。

私が同席したA子さんについても、この手の被害を受けそうになっていたようであり、どうやら、裸の写真を撮って、どこかに売り飛ばすか、親に買い取らせようと思っていたようだ。

彼の立場は、法人の管理とお金の管理であるが、どうやらその先にも統括する人物がいるような口ぶりだった。指南役として法律家がいるのは、契約書を見ればよくわかる。この指南役については、彼自身もどうやら知らない様子であった。

ちなみに2法人の法人登記簿謄本は確かに存在したが、役員を変更していないため、会社売買前の状態のままであった。

おおよそ銀行口座だけ使って、どこかで都合が悪くなれば、何もなかったことにして、捨てるのであろう。

全体概要を把握し、構成するメンバーを抑えてしまえば、あとはどうにでも料理はできよう。

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