広島東洋カープが25年ぶりに7度目のリーグ優勝を果たし、日本中の広島ファンが歓喜に沸いています。久々のプロ野球の盛り上がりで、お子さんが「野球やりたい」と言い始めたお宅もあるのではないでしょうか? スポーツライターの大利実さんが発行するメルマガ『大利実のメルマガでしか読めない「中学野球」』では、京都・長岡中学校の萩野健太朗先生によるアメリカの高校野球体験談を紹介。それに関連付けて、広島に今年ドラフト2位で入団したピッチャー・横山弘樹投手が大学生だった頃の興味深いエピソードを紹介しています。
聞くことから始まる 京都・長岡中 萩野健太朗先生
わからないことは聞く
5月下旬に発売となった『中学野球太郎Vol.11』。
京都・長岡京市立長岡中の萩野健太朗先生が素晴らしい手記を寄せてくれている。題して、「私のアメリカ高校野球体験談」だ。
萩野先生は日本の高校を1年で中退し、アメリカの高校野球に挑戦。英語がうまく理解できない萩野先生は、ミーティングでわからないことがあっても、「YES」とわかったふりをしていた。監督やコーチの言うことは黙って聞くことが、日本での教えだったからだ。しかし、アメリカでその考えは通用しなかった。
(以下、本文から抜粋)
一番やらなければいけないことは「自分から聞きにいく」ということです。なぜ自分は試合に出られないのか、どういった力をつければ試合に出られるのか、自分はこう思っているが、監督やコーチはどう思っているのか、それを知るために監督やコーチに話をしにいくことをアメリカ人はためらいません。
ある日、監督に呼ばれていくと「なぜわかっていないのに質問に来ないのか」とお叱りを受けました。そして、「君はいつもYESしか言わないが、YESだけでは何も伝わらないし、君が本当に理解しているかわからない。けん制のサインなどもよく間違えているのを知っているよ。わからないことを怒っているのではなく、君が何も聞きにこないことが一番の問題だと思っているよ」
ぜひ、全国の中学球児に読んで欲しい文章!
わからないことをわからないままにしていないか?
質問することを怖がっていないか?
でも、その気持ちはすごくよくわかる。
「わからないことは聞く」
この当たり前ともいえることが、なかなかできない。とくに年齢を重ねるとできなくなる。私が取材するときも、「これを聞いたら、勉強不足と思われるかな……」と聞くことを躊躇してしまう。
「何で、ぼくがスタメンじゃないんですか?」
「何で、あそこでバントのサインだったんですか?」
と、監督に聞ける選手がいたら、その選手の未来はきっと明るい。
萩野先生の手記を読んで、「似ているかな」と思ったのが、進学校で活躍した選手の言葉だ。
今、東大で活躍している宮台康平が湘南高校に在籍していたとき、「勉強のコツは?」と聞くと、「わからないことをそのままにせずに聞くこと。小学生のときからずっとそうやってきました」と答えてくれた。
授業でわからないことがあれば、わからないままにせずに、すぐに先生に聞きに行く。
「わからないことがわかるようになるから、勉強って面白いんです。それをわからないままにしておくと、つまらなくなる」
いや、もう、おっしゃるとおりです。
進学校の選手を何人か取材したことがあるが、「わからないことは、すぐに聞いていました」という答えが結構多い印象がある。