なぜアカトンボは赤くなるか?その謎に隠された老化防止のヒント

2016.09.24
by まぐまぐ編集部
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日本の秋の風物詩のひとつに「アカトンボ」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。そんなアカトンボ、実はまだ解明されていない謎が多い昆虫なのだそうです。特に「なぜ赤くなるのか?」については未だに学説が分かれているとのこと。 メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』の著者で、早稲田大学教授・生物学者の池田先生は、そのうちの2つの学説を紹介。さらに、そのメカニズムが「人間の老化防止に役立つかもしれない」と、驚きの説を唱えています。

アカトンボはなぜ赤くなるのか

アカトンボの個体数が最近少し増えたような気がする。フィプロニル(商品名プリンス)という農薬が、アキアカネの個体数を激減させる原因であることは、このメルマガでも述べたが、多少とも使用を控えているのだろうか。

アキアカネは日本を代表するアカトンボで、種名としてのアカトンボは、アキアカネを指すが、広義にはアカネ属(アカトンボ属)の種全体を指すことが多い。専門的知識がない人は、アカネ属に属す個々の種を区別することは難しく、同じように見える種も多いはずだ。この属は世界に50種ほど産し、そのうちの21種が日本から記録されているので、日本はまさに秋津洲(あきつしま;トンボの国)と言うに相応しいアカトンボの国なのだ。

アカネ属以外にも赤くなるトンボがいて、別属のショウジョウトンボは、アカトンボ以上に赤くなり、このトンボもアカトンボと言って差し支えないと思う。反対に、アカネ属の中にも赤くならない種もいて、ナニワトンボやマダラナニワトンボの成熟したオスは、むしろ青くなってしまうので、アカトンボとは言い難い。多くのアカトンボは成熟したオスだけが赤くなり、メスや未熟なオスは赤くならない

アキアカネは平地の田んぼで生まれ、夏は高原で避暑としゃれこみ、秋に大群で平地に戻ってくる頃には、オスは成熟して鮮やかな赤色になる。よく似たナツアカネは、生涯、平地に留まり移動しないが、成熟オスはアキアカネよりさらに赤くなる。アキアカネが避暑をするのは高温に弱く、摂氏30度以上になると生きられないからだと言われている。

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