2011年にアメリカのケーブルテレビ局で放送開始されるや一躍大人気となった「アメリカン・ホラー・ストーリー」。女性を意識して制作されたらしいのですが、その恐ろしさは想像を絶するものなのだとか。アーティストの武田瑛夢さんがメルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』にレビューを寄せています。
夜な夜な「アメリカン・ホラー・ストーリー」を見る
huluはお試し期間を過ぎても解約せずにいろいろ見ている。「アメリカン・ホラー・ストーリー」は現在はシーズン2までがhuluで見られるので、PC画面、iPad、テレビなど場所を変えながら、結局全部見てしまった
最初のシーズンが始まってから4年も経っていて、シーズン4まで作られている。「Glee」の製作総指揮ライアン・マーフィーによるスタイリッシュ・ホラーだそう。FOXのサイトでは「エロ・オシャレ・スリラー」とコピーがついていたけれど、女性向けを意識してもいるらしい。
確かにポスターデザインとかわかりやすくクールに作っている。このドラマは日本では訳された時期の違いからか、シーズンのサブタイトルが何通りかあるので、DVDタイトルを選ぶ時は要注意だ。
※以下はネタバレがあります。
私は「アメリカン・アイドル」も好きだから単純に「アメリカン」がつけば何でも好きなんじゃないの? って言われそうだ。なんでアメリカ人はタイトルにアメリカンとつけたがるのだろう。
でも、そう言えば日本の番組でも「ニッポンの~」とつくタイトルは最近やたらと多い気がする。きっとみんな自分の国が好きなのね。純粋な日本人の私は、ニッポンのでもアメリカンでも面白ければどっちでも良い。
「アメリカン・ホラー・ストーリー」はシーズンごとに場所も設定も変わるのに、レギュラー俳優数名が全く別人の役で出ているのも変わっているところ。
正統派とはちょっと違う人ばかりだけれど、新シーズンでも登場した時に、既になじみのある俳優というのが「待ってました感」を満たして良い感じだと思った。
アメリカン・ホラー・ストーリー:呪いの館 シーズン1
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ジャンルはホラーだけれどすっごく怖いという訳でもないので、私は夜中に1人で見ても全然平気だった。でもこれは激辛料理と同じで、辛さレベルの感じ方が人によって違うように怖さの感じ方もいろいろ。
私の場合はシーズン2での残酷シーンがあまりに強烈な時には、AppleTVで大画面で見ていたのを、サッとiPadに切り替えたりして対処した。耐性があると自覚していた私でも、正直目をそむけてしまうシーンが多々あったので、次のシーズンを見るかどうかは決めていない。
このドラマはR指定が入っているせいか、残酷シーンに遠慮がない。怖いシーンの予感はあるけれど、最初はたぶん全部は映さないだろうとタカをくくっていた。
しかし、バッチリと見てしまったので、え? えー! っという感じで二度驚く。シーン自体に驚き、R指定の許容度にもう1回驚く感じだ。
ココまでやるのかぁという驚きで、だんだんと身構える癖ができてくる。
わかりやすく言うと、切るシーンはカミソリであろうとオノであろうと、そのまま切れるのが映っているし、流血もリアルだとこんな感じだろうという量が勢いよく出ている。ありのままの残酷さだ。
もちろん特殊メイクで作られているので、実際に人間を切っているわけではない。血しぶきは赤いけれど血の海は黒い。きっとリアルで血の海って黒いのかもしれない。けれどあんまり考えたくない。もう、こういうのは限界かもな(弱気)。
私は怖さでは日本のホラーで特に「心霊」の文字がつくと急に苦手になる。心霊写真なんて漢字だけ見ても、今入力しただけでもすごく嫌だ。
たぶん子供の頃に見た「3時のあなた」の、心霊写真特集のコーナーのせいだと思う。毛布が何を守ってくれるのか知らないけれど、何かかぶらないと見られなかった。
しかし、海外のホラーは、出て来るのが「ゴースト」だからちっとも怖くない。原体験にないという安心感からかもしれない。でも今回のドラマで切るシーンは苦手だと自覚した。
シーズン1は「呪いの館」で、立派な洋館に引っ越してきた一家(夫婦と高校生の娘)が散々怖い目に遭うというベタな設定。
過去に館であった恐ろしい殺人事件が序所に明るみになるのだけれど、1回ではなく何度も何度も違った形で恐ろしい事件が起こってきた場所らしい。
普通の館系ホラーは、謎の怪奇現象が起こったりして館が呪われているということがわかるけれど、このドラマの場合は、ゴーストが普通に家に「人」としてやってくる。
そして、人間関係が出来上がっていくにつれどうもおかしいということがわかり、本物の人間の方が危険で壊れていることに気づかされていく。高校生の娘は親子問題や自傷行為、恋愛問題などを抱えていてとてもイマドキの感じだ。
私には、ドラマの山場もこの子のシーンだったと思うけれど、家が怖いなら住まなきゃいいという結論に、たどりつけない家族のジレンマがもどかしい。