マクドナルドを倒した、函館「ラッキーピエロ」バーガーのズルい戦略

 

まとめ(戦略ショートストーリー)

函館に住む全年齢層をターゲットに「地域一番店主義(函館に徹底して密着)」に支えられた「美味しい」「楽しい」「豊富なメニュー」という強みで差別化しています。

コンセプトの異なる店舗を展開し、顧客ニーズに応えてリーズナブルなメニューを拡大し続け、常連客をえこひいきする接客で、地域の幅広い層の支持を得ています。

■分析のポイント

「地域一番の意味」

ラッキーピエロは、函館という地域で一番になることを目標にしてきて、それを実現しています。

地域一番店になることのメリットとしては競合企業との競争において、安定的に優位に立てるということがあげられます。実際に、ラッキーピエロは函館市内において、安定的優位な立場といえる状況です。

函館市内においては、ハンバーガーチェーンの店舗数はラッキーピエロが最多で、マクドナルドなどの大手チェーンも少数派となっています。

全国でみたときには、ハンバーガーチェーンとして、マクドナルドは圧倒的な王者であり、その地位は安定的です。マクドナルドを脅かすようなハンバーガーチェーンが現れるとは思えないですよね。

しかし、函館では、マクドナルドは追いかける立場なわけです。そう、函館では、ラッキーピエロが王者なのです。

王者(地域一番店)が、なぜ優位かというと、その地域の多く顧客の選択肢の最初に出てくる存在であるということ。最初に出てこないとしても、選択肢に入る可能性が非常に高い存在であるということです。

しかも、ラッキーピエロの場合は、店舗ごとにコンセプトやメニューも異なるので、ベイエリア本店にしようか、それともマリーナ末広店にしようかと顧客の選択肢の中に、ラッキーピエロが複数店入ってくることもあるでしょう。

当たり前ですが、顧客の頭の中の選択肢に浮かばない店が、顧客に選ばれることは、まずありませんので、顧客の選択肢に入るということは、非常に重要なポイントです。

そして、ラッキーピエロは函館市内を中心に17店舗を展開していまして、かなり密集して出店しているようです。17店がすべて異なるコンセプトで出店しているというのもありますが、近い店舗では店舗間の距離が歩いて数分とのことです。

これは、競合企業へのけん制になりますね。競合企業が出店するにも、これだけ周辺にラッキーピエロのお店があると出店しにくいものです。よい立地も押さえられていますしね。しかも、地元から非常に愛されている店ですから、なおさらです。

これらのように、エリアを絞った局地戦に持ち込めば、大手チェーンをも凌駕することができるということを、ラッキーピエロは実証しています。

もちろん、ラッキーピエロは、顧客密着の戦略を掲げ、約30年にわたり顧客密着を徹底してきた結果として、地域一番店となっていることも忘れてはいけませんね。

今後、予想される人口減少という環境の中で、ラッキーピエロがどのように成長していくのか、注目していきたいです。

 

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