日本パソコン史を変えた1台。NECのPC-9801が未来技術遺産に登録

 

1982年に登場するや瞬く間に日本中を席巻、かつては国民機と呼ばれるほどの人気を実力を誇った「98シリーズ」の祖であるNECのPC-9801が、このほど未来技術遺産に登録されました。メルマガ『旬刊!ブログで言えない家電の話【神原サリーとゆかいな仲間たち】』の著者のひとりで、作家・ITジャーナリストの一条真人さんは、このマシンの登場がいかに衝撃的であったか、そしてPC界にどれほどの影響を与えたのかを詳しく記しています。

NECのPC-9801の登場はなぜ大きな意味を持つのか?

NECのPC-9801が独立行政法人国立科学博物館によって「重要科学技術史資料未来技術遺産」に登録されたと発表された。今ではパソコンといえばWindowsパソコンが普通で、パソコンに個性がなくなってしまった今日この頃なので、このNECのPC-9801になぜそんな価値があるのか? 不思議に思う人がいるかも知れない。

NECのPC-9801などが「重要科学技術史資料」に登録

NECがPC-9801を発表したのは1982年。当時は8ビットパソコンの全盛期で、パソコンの主な用途はゲームだった。これに対してPC9801はインテルの8086という16ビットプロセッサが搭載。当時のNECの主力8ビットパソコンはPC-8801という同じくインテルのZ80というプロセッサを搭載していた。

8ビットのプロセッサは一度に扱えるデータサイズが8ビットでアクセスできるメモリ空間も小さかった。これに対して、16ビットプロセッサは16ビットのデータが扱える。そして、アクセスできるメモリ空間も飛躍的に大きくなった。これによって、処理能力が大幅にアップしたのだ。

1981年8月、IBMもIBMとしてははじめてのパソコン「IBM PC」を発表した。登場自体はPC-9801の前年であり、この機種もその時代の新機種に相応しく16ビットプロセッサを搭載していた。

しかし、そのプロセッサは「8088」で、外部バスが8ビットとなっていて、PC-9801の8086と比較して処理能力が低かった。そのため、1982年時点ではPC-9801という日本のパソコンの処理能力がIBMのパソコンよりも処理能力が高かったわけだ。

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