4.商業施設のリコンセプト
日本中、商業施設があふれている。商業施設は、利益を上げるための施設であり、売る側の論理で貫かれた施設である。
商業施設を訪れる顧客は、商業施設の利益のために行くわけではない。楽しみに行く。感動しに行く。良い気分を味わうため行く。気分をリフレッシュするために行く。情報収集に行く。勉強するために行く。時間潰しに行くこともあるだろう。
楽しむ結果として商品を購入することもある。買い物が楽しかった時代は、商業施設そのものにエンターテインメント性を感じただろう。しかし、現在は商品が並んでいるだけの施設を楽しいとは思わないのではないか。
商品を主役にして楽しくならないのなら、楽しいコトを主役にしなければならない。例えば、会場でライブ演奏をしている。ライブ演奏会場にミュージシャンのグッズがあれば購入するだろう。モノが欲しいのではなく、コトの記憶を残すために購入するのだ。
美術館のミュージアムショップのように、商業施設はコトの付属施設という位置づけで丁度いいのではないか。
商業施設にアミューズメント施設が付属しているのではない。アミューズメント施設に商業施設が付属しているのが正しいと思う。
例えば、病院の一部にショップがあり、健康をテーマにした商品が展開されていれば、購入したくなるだろう。病院ほど自分の健康について考える場はないからだ。
商業施設は解体されるべきである。そして、あらゆる施設に付属する。最早、商品を購入することは楽しくない。それならば、楽しい施設に行くついでにモノを買うという行動が正しいのではないか。
私のように、人が楽しいならば、百(貨)店ではなく百(人)店に行きたい。特定の趣味を持つ人なら、百(列車)店、百(化石)店、百(マンガ)店、百(ハイキング)店、百(写真撮影)店等のコンセプトが良いだろう。
重要なのは、商品MDではなく、コトMD、楽しみMD、幸せMDであることだ。コントロールするのは、商品だけでなく、空間、サービス、コミュニケーション、エディケーション、エンターテインメント等の要素である。