もんじゅ廃炉の裏に、新たな「天下り利権」死守の目くらまし疑惑

arata20161004
 

ようやく高速増殖炉もんじゅを廃炉とする方向で動き出したとされる政府。これまで1兆円もの血税を注ぎ込んだものの稼働のめどすら立たない「無用の長物」が処分されるのは喜ばしいようにも感じられますが―。メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』の著者・新 恭さんは、お得意の「目くらまし」の可能性があると指摘、もんじゅは廃炉にしても核燃サイクルの開発は続けるという政府の真の意図を白日のもとに晒しています。

もんじゅ廃炉は核燃サイクル利権死守の目くらましか

使った以上のプルトニウムを生み出すというふれこみで研究開発が続けられてきた高速増殖炉「もんじゅ」は、いよいよ廃炉になる方向のようだ。それでも、「核燃料サイクルという国策は継続し、高速炉の研究を続けるという。どういうことなのか。

「もんじゅ」の廃炉で、いかにも重大な政治決断をしたように見せかけ、その実、「核燃サイクル」にかける予算や人員は減らさないということではないか。いつものように目くらましでごまかされないよう、政府の真の意図をさぐっておかねばならない。

いまさらいうまでもなく、原子力発電の最大の矛盾は、いつまでも放射能を出し続ける使用済み核燃料の処分方法が確立されていないことだ。

いずれ、科学技術の力で克服できると踏んで、とりあえずスタートさせたものの、最終的に地中深く埋めておく処分場が、候補地の反対でいっこうに見つからず、使用済み核燃料は各原子力発電所のプールに貯まり続けている

この状況を打開し、ウラン資源を持たない弱みを解消するための、一石二鳥プランとして浮上し、事業化したのが「核燃料サイクル」である。

使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再び使うというサイクル計画。そこには、自力で核兵器をつくる技術的な能力を持っていたいという政府の思惑もある。

それを承知のうえ、米国が原子力協定を結んで非核保有国である日本に再処理を認めたのは、思うがままコントロールできる、いわば「属国」という双方暗黙の前提があるからだ。

この事業計画のかなめとなるのが高速増殖炉「もんじゅ」だったが、トラブル続きで36年経っても実用化できなかった。1兆円もの巨費を垂れ流し、多くの職員やファミリー企業の雇用を維持するだけの存在となっていた。

民主党政権下の平成24年9月には、「革新的エネルギー・環境戦略」なる文書のなかで、「研究を終了するという目標が打ち出された。「もんじゅ」廃炉のチャンスだったが、しょせん目標は目標にすぎなかった。

そして、自公に政権が移ったあと、原子力ムラの勢いが復活し、2013年12月、政府はエネルギー基本計画を作成して、民主党政権が決めた「原発ゼロ」方針を撤回、「もんじゅ」に関しては「研究終了」から「実施体制を再整備するに転換した。

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