小池知事の誤算、都の欺瞞。「豊洲問題」で透ける各々の思惑

 

そういう経緯を知らぬはずがない小池百合子都知事は、存在が明らかになった地下空洞の安全性を検証するため、再び、同じ平田健正(現・放送大学和歌山学習センター所長・特任教授)を座長とする専門家会議を招集したのである。

専門家会議の提案である盛土をしていなかったのだから、同じメンバーが検証するのが当たり前という考え方なのだろう。筆者が、小池知事の本気度を疑う理由の一つはそこだ。

2007年5月19日~08年7月26日の9回にわたる会合で、専門家会議がどのような安全評価をしてきたのかは、議事録を仔細にたどればわかるが、ここでは盛土にしぼって、注目すべき点をあげてみたい。

2007年5月19日の第1回会議において、あらかじめ会議のメンバーに配られた資料の「東京都が予定している土壌汚染等の対策」という項のなかに、すでに以下の記載がある。

【建物建設地】2.5mの盛土(東京都)・堅固なコンクリート床(厚さ 25~40cm)で被覆(東京都)

そして08年7月26日の最終の会議において、建物建設地については下記の提言がとりまとめられた。

建物建設地

(1)旧地盤面(A.P.+4.0m)から2m(A.P.+2.0m)までの土壌を掘削し、入れ換え。

(2)さらに上部に2.5m の盛土。
(1)操業由来により処理基準を超過した土壌を処理基準以下に処理。

堅固なコンクリート床をとりやめ、そのかわりに、旧地盤面の下2mまでの土を入れ換え、ガス工場操業当時の地面より下の土壌から汚染物質を取り除くという内容が加えられているが、2.5mの盛土をほどこすという考え方は都の当初の方針通りである。

盛土そのものは、なにも専門家会議の知見によるものではなく、もともと都が発案した計画であることがわかる。

それを都が覆して、コンクリート空洞の設計図を日建設計に描かせたということである。当然、関係部門の役人は全員知っていたはずだが、小池知事の原作に大メディアが飛びついて、みるみる壮大になった勧善懲悪劇の悪人にされたくないために、知らんぷりしているのだろう。

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