「誇り」を取り戻せ。日本人が知るべき自分自身の「根っこ」

 

回復した根っこ

後にレーガン大統領は、ワシントンにベトナム戦争戦没者慰霊碑を建てた。高さ3メートル、長さ75メートルの黒い花崗岩に6万人近いベトナム戦争の戦没者・行方不明者の名を刻んだ壁である。この慰霊碑のそばで、レーガンは次のようなスピーチをしている。

今世紀の他の戦争と違い、ベトナム戦争が正義と叡知に基づいた戦争であったかについては、深い意見の対立がある。…この10年間に、絶望してベトナムから脱出したボート・ピープル、カンボジアの(数百万が殺された)キリング・フィールド、この不幸な一帯で起きたすべての出来事を考えれば、我々の仲間が戦った大義が正しいものであったことを誰が疑えよう。

 

それは、結局は自由という大義のためだった。その戦略は不完全だったとしても、彼らはその任務のために尋常でない勇気を示したのだった。

 

おそらく、すべてが終わった今日、我々が同意できるのは、一つの教訓を得た、ということだろう。それは勝てる見通しのない戦いにアメリカ兵を送ってはならない、ということである。
『世界が称賛する 日本人の知らない日本』

ベトナム戦争でアメリカは負けたが、負けたが故に間違った戦争とは言えない。戦争の勝敗と正義不正義とは別のものである。負けはしたが、ベトナム戦争もまた自由の国が自由という大義を掲げて戦った戦争だと、レーガン大統領は訴えたのである。

大統領のこうしたスピーチと、年間300万人もの人々が訪れる慰霊碑によって、一時は傷ついたアメリカ人の根っこは回復した。根っこからのエネルギーで、アメリカ国民は誇りを取り戻しアメリカ経済も活力を回復した。

その誇りと経済力で、レーガン大統領は世界中を圧政下に置こうと企むソ連を打倒して世界の人々の自由を護った。根っこは先人への感謝を生み出し、子孫のための志を生む。その誇りが精神的な豊かさをもたらす。

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