日本は「失われた30年」へ。労働力不足が生む深刻な負のスパイラル

 

それ、リスク・プレミアムか?

資産家にも試練が来る。日本の株価も1万6,500円前後で張り付いているが、海外のリスクが発生すると、リスク・プレミアムが起きて、株価が大きく下げる事になる。ニューヨークNYSE株価は高く、PERが17倍以上であり、イエレンFRB議長もバブルにならないように利上げが必要と認識しているようである。FRBの12月利上げ観測で、米国債の金利も上昇してきたことでNYSE株価を下押ししている。

日本の株価は、PERが14倍程度であり、株価が高いとは思わないが日本市場の取引の7割が海外、特に米国ファンドや個人などで占められているので、NYSEでの暴落は東京市場の暴落にもなる可能性が高い。外人投資家は日本経済を見ていないからであるが、日本の経済統計に株価はほとんど反応していない。

また、リスク要因が多数出てきたことが心配である。米露のシリアでの戦争リスク、中国の経済失速リスク、ドイツ銀行など欧州銀行の破綻リスク、英国ハードBREXITリスク、北朝鮮崩壊リスク、日中戦争リスク、トランプ米大統領リスクなど、どれも日本経済や世界経済に大きなダメージを与えるリスク群が多数存在している。

株価を決定するのは、金利であり、中央銀行が金融緩和をして金利ゼロにすると、配当利回りの方が金利より良くなり、株価が上がり流動性相場である。2つには企業業績が高くなり、株価が上がることで実績相場になる。米国は今、流動性相場から実績相場に変わろうとしているが、企業業績がそれほど高くないので、株価が高いと見られているように感じる。

最後に、将来のリスクを考えて、相場が下落することで、リスク・プレミアムである。米株価が落ちた原因をリスクに求めると、リスク・プレミアムになり、その原因で日本の株価も落ちることになる。しかし、現在の米国は、流動性相場から実績相場への移行期であり、株価が落ちるのは、企業業績に見合った株価への移行での下げのように感じる。下げは買いの可能性もあるとみるがどうであろうか?

日本企業は、円高になり海外企業の買収を積極的に行っているので、思ったより減収になっていないし、円高になっても輸出が減っていない。日本企業が海外での売上を増やして、日本経済に依存する割合が低くなってきたからだ。このため、円高に反応していない。業績を維持しているようだ。大企業の業績は安定している。

資産家が恐れることは世界的なリスクであるが、それが起こる可能性があることだ。それと超円安であろう。円での資産価値が大きく減損するからである。日本円の超円安はすべての国民を巻き込むことになる。

さあ、どうなりますか?

image by: Shutterstock.com

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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