日本は「失われた30年」へ。労働力不足が生む深刻な負のスパイラル

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さまざまな景気対策が講じられてはいるものの、どれも決め手に欠ける感が否めず、明るい見通しが描けない日本経済。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、「労働力増強なしで日本の復活はない」と断言し、少子高齢化の急激な改善が見込めない今、すぐに実行すべき政策を提案しています。

労働力増強なしで日本復活はない

日本の金融緩和から脱出する方法が難しいし、その上に来年1月に噂がある総選挙のために、財政均衡ができないでいる。この先、日本はどうしたら良いのかを検討しよう。

現状分析

アベノミクスは、日本経済より資産家や大企業優先での経済回復を志向し85%の国民を置いてきぼりにし、国民の収入はほとんど増加しなかったことで、消費が減少してデフレになってしまった。一時的に中国人の爆買いで一息ついたが、それもなくなっている。

その上に、少子高齢化により、今後、労働力が年間20万人以上も減少することで、GDPを維持するのも難しくなる。年々、税収も減り、高齢者が増えて社会保障の維持をするのも大きな経費の増額が必要であり、益々財政負担が重くなる。しかし、総選挙のために経費削減もできないようである。

これは、日本社会の維持がどこかでうまくいかなくなる。プライマリー・バランス(財政均衡化)を図る消費税増税もできず、かつ来年予算での税収UP、支出DOWNを図るための扶養控除廃止や社会保障改革などの政策もできない。

このため、2020年までのプライマリー・バランスもできずに、日本は今後も日銀の量的緩和に頼る事になる。日銀も国債を500兆円も買い占めて、約3分の1の国債を買い占めたことで、徐々に量的緩和が難しくなり、イールドカーブの操作で10年国債を金利0%を目標にしているが、この日銀の金融政策を止めることができない事態になっている。

もし、日銀が金融緩和縮小しようとすると、国債の長期金利が上昇して、超円安になりハイパー・インフレになってしまう。しかし、当面は海外のリスクが多数あり、円高の心配もする必要がある。

日本経済を財政出動で維持することはそろそろ難しくなる。ハイパー・インフレを意識して政策を立てないと、急な超円安になり、国民は賃金が増えないし、高齢者の貯蓄の多くも円での銀行預金であり、ハイパー・インフレになると、大幅な実質的な意味での減額になり、以後の生活に困窮することになる。この20年以上の財政での日本経済を維持する政策での咎めが来る事になる。

しかし、いつかはそうなることは、常識的に考えてもわかるはずである。しかし、その時が来るまで、国民も政府・日銀も無責任に、その政策を止めることができないでいる。

しかし着実にその時が近づいている。日銀の金融政策で予算維持できるのは、プライマリー・バランスに向かっていると円の信認を維持できるまでであり、その信任がなくなると、徐々にか急にかは分からないが、超円安の方向に行ってしまうことになる。

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