ホテルや旅館でかならずお世話になるスリッパですが、今、注目を集めている「最高級スリッパ」をご存知でしょうか。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、お値段なんと1足2万円の贅沢なスリッパで、山形県のある街を「スリッパの聖地」にしようと試みる興味深い企業の経営戦略・戦術を、著者の青山烈士さんが詳しく分析しています。
コラボレーション
注文が殺到している最高級スリッパを作っている企業を分析します。
● 阿部産業(高級スリッパ)
戦略ショートストーリー
高級旅館や高級ホテルをターゲットに「こだわりを持った独自のモノづくり」に支えられた「上質さ」「履いて気持ちいいスリッパ」といった強みで差別化しています。
スリッパのブランド化に地域をあげて取り組みつつ、自社は最高級・最高品質にこだわることで実現した圧倒的な品質のスリッパで顧客の支持を得ています。
■分析のポイント
「コラボレーション」
価格で勝負できない、勝ち目がない状況の中で、阿部産業がとった戦略は、最高品質・最高級を目指す戦略でした。その最高品質・最高級を実現するためにカギになったのがコラボレーションです。
コラボレーションとは複数の立場や人によって行われる協力・連携・共同作業のことです。阿部産業はどんなコラボレーションをしたかというと
- 工業技術センターとの共同研究
- 米沢織りとのコラボレーション
- ロンドン在住のデザイナーとコラボレーション
などがあげられます。これらのコラボレーションがなく、自社リソースだけでは、最高品質・最高級を目指す戦略の実現は難しかったでしょう。
ちなみに、戦略を考える際に基本的には持っているリソースから考えることが多いです。なぜかというと、例えば、既存の在籍メンバーで実現できないことが明らかな戦略は現実感がなく、絵に描いた餅になってしまう可能性が高いからです。
しかし、自社だけでは戦略の実現がむずかしいこともあります。その場合に有効になるのが、協業などのコラボレーションです。
阿部産業は、戦略を実行するうえで、コラボレーションの有効性を示してくれた好事例と言えるでしょう。今後、阿部産業がどのようなスリッパをリリースしていくのか、河北町は「スリッパの聖地」となることができるのか、期待しています。