一人の時間が個を強くする
人間が自己を確立するには孤独な時間が必要であり、自己を確立した人間は一人でいても平気です。
そういう意味においても、一人でいる時間を作ることは、極めて重要な投資行為だと私は考えています。
だから、ぼっちを恐れる必要はないし、むしろそのほうが好都合くらいに気楽にとらえることです。
他人といるときに、自分の内面を深く掘り下げることは難しいでしょう。
他人と会話したり、他人とSNSをしたり、他人に影響され続けていては、本当に自分がやりたいこと、すきなこと、嫌いなこと、したくないことに思いを馳せることも難しいでしょう。
確かに、他人とディスカッションすることで、よりよいアイデア、よりレベルアップした解決方法が見つかったり、勇気づけられたり、気付きを得たりということはあります。
しかしもっと重要なことは、自分自身の物事に対するとらえ方や、それに対する感じ方を整理することです。
子供も学生も、一人でぽつんとしている人ほど、話すととてもしっかりしていて、いつも友達と一緒に遊んでいる人ほど、どこか軽いというか、考えが浅い印象を受けるのは、一人の時間の長さに起因しているのではないかと私は考えています。
悩みも不安も、本人がより成長するための燃料です。
相手のことを真剣に好きでなければ恋愛で悩まないし、勉強に興味がなければ成績が伸びないことに悩んだりしないでしょう。
そして、「ああ、自分はこう感じているんだ」「だけど、こうしないといけないな」「だから明日からはこれをやってみよう」と自分の中で感情を消化し、モチベーションを管理します。
そのため思春期に個室が与えられないと、悩みや不安を内省・消化する時間がなく、精神が未熟のまま育つリスクがあります。
そして、論理的に深く考えることが苦手になります。
ちょっと複雑な問題に直面したら、「ああもう、わからない!」「もうどうでもいい!」「もう知らない!」とさじを投げががちです。
自分の頭で考え抜くという経験をしてこなかったため、物事を突き詰める思考体力がありません。
そのため、何かにつけて感情的になり、感情で判断します。
たとえば「他人から嫌われたら何が困るの?」と質問すると、「そりゃ困るでしょう」「何かあったときに助けてもらえないじゃない」と、浅い回答しか返ってきません。
「あなたは不謹慎だというけど、何がどう不謹慎で、それで誰が困るの?」と質問すると、「不謹慎に決まっているだろう」「ダメなものはダメ」と、まるで具体的な根拠がありません。
あるいは想像力や発想力の源泉も、基本は個人です。実際、漫画家、作家、作曲家、画家、書道家、陶芸家などなど、クリエイティブな職業についている人は、たいてい個人です。
自宅やオフィスにこもって黙々と作業したり、あるいは散歩しながら考えたり、一人でいるからこそ人の感情を揺さぶるアウトプットが出せるのではないでしょうか。
そうやって、他人とのかかわりから離れ、一人で自分の心と向き合うときに、自分固有の価値観やあり方が見えてきます。
今までの経験をもとに、自分への影響、自分のありようが見えてきます。
すると、他人の目に縛られていた自分を解放できる。
一人でいてこそ、いろいろなしがらみから解放され、自由に心を模索する世界を手に入れられる。
ちょっと観念的でわかりにくいかもしれませんが、この快感というか、満たされた時間を実感できると、一人でいることが寂しくなくなります。
一人となって自分の内面と対話するのは、豊かな時間であり、まったく寂しくはないことがわかります。
誰かと一緒でも楽しいけど、一人でも楽しい。孤独や孤立を恐れない、強い自己がはぐくまれます。
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著者/午堂登紀雄
フリー・キャピタリストとは、時代を洞察し、自分の労働力や居住地に依存しないマルチな収入源を作り、国家や企業のリスクからフリーとなった人です。どんな状況でも自分と家族を守れる、頭の使い方・考え方・具体的方法論を紹介。
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