日本と台湾が「トランプ大統領」を大歓迎すべき、これだけの理由

 

たとえば、かつて陳水扁政権で国防部副部長だった林中斌氏は、トランプ政権では反共産主義の立場だった人が要職につくという予測しています。また、冒頭の記事は、トランプ陣営の参謀である米カリフォルニア大のピーター・ナバロ教授と、米下院軍事委員会で海軍力小委員会委員長のアドバイザーを務めたアレキサンダー・グレイ氏が、米誌「フォーリン・ポリシー」に台湾への全面的な武器供与の必要性を訴える論文を掲載したというものです。

同記事によれば、2人は、オバマ政権の台湾に対する扱いは「実にひどいものだった」とし、台湾はおそらく米国のパートナーの中で軍事的に最も脆弱だと指摘。2010年にアメリカ国防情報局が台湾海峡の軍事バランスを「北京側に傾いている」と警告したにもかかわらず、オバマ政権は中国の野心を食い止めるために必要な、台湾への包括的な武器の供与を拒み続けたと批判している、と報じています。

たしかにオバマ政権時代は米中蜜月の時代と見なされ、台湾人のアメリカ離れを招きました。そしてそれが馬英九政権に「対中接近」の好機を与えたのです。しかし、馬英九はアメリカ国籍などを持っているかどうかを曖昧にしたまま8年間も総統を務め続けたこともあり、支持率は1ケタ台にまで低迷してしまいました。

2013年ごろから、台湾ではアメリカ共和党支持が大勢になりつつありました。だからトランプの出現と躍進に対しては、意外というよりも期待のほうが大きいのです。中国の台湾に対する理不尽な主張に対して、ハーグの仲裁裁判所のように「まったく根拠なし」とまで断じなくとも、「中国は嘘つきだ」とさえ言ってくれれば、台湾は主権国家としての正当性が生まれます。

トランプ氏の陣営のアジア系アメリカ人委員会に所属する台湾出身の企業家・徐紹欽氏も、「トランプ氏は台湾を信頼できる友人と考えている」と発言しています。

トランプ氏、台湾を「信頼できる友人」と認識=陣営関係者

トランプ氏の対中政策はまだ判然としません。しかし、鉄鋼をはじめとする中国の輸出品については不当なダンピングをしているということで、中国産品に45%の関税をかけるべきだと主張しています。この姿勢については、大統領就任後も変わらないでしょう。というのも、トランプを選んだ白人労働者は、自分たちの仕事を奪っているのは中国だという怒りを持っているからです。

こうした労働者の反中国感情は世界中で高まっています。昨年の10月に習近平主席がイギリスを訪問したときには、同国の鉄鋼業界が中国の鉄鋼ダンピングについて強く批判を行っており、デモも起きています。

加えてトランプ氏は、選挙期間中に中国を為替操作国に認定すると述べてきました。これについては元財務長官顧問も「トランプ氏は公約を守るだろう」と述べています。そうなれば、中国経済はさらに苦境に陥ることは避けられません。

トランプ氏は中国を為替操作国に認定するだろう―元米財務長官顧問

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