三木谷が動いた。楽天、爽快ドラッグを買収し8兆円市場をロックオン

 

しかし、全面的なネット販売の解禁とはなっていません。劇薬指定の5品目は販売が禁止、医療用(処方薬)から切り替わって間もない23品目は切り替え後3年間ネット販売が禁止されたからです。これは、店舗での対面販売により安全性を確認する必要があるとの主張によるものです。

これに対してネット販売業者は強く反発しました。楽天の三木谷浩史氏は「最高裁で違憲判決が出たにもかかわらず、ゾンビのようにもう1度規制をかけることを許してはいけない」と怒りをぶちまけています。さらに、政府の産業競争力会議の民間議員を辞めるとまで言い出し、抗議の意を示しています(後に撤回)。

13年11月、医療用(処方薬)から切り替わって間もない23品目と劇薬指定の5品目のネット販売を禁止・制限する薬事法改正案が閣議決定されました。これに対しケンコーコムは東京地裁に行政訴訟を起こしています。

医薬品のネット販売について、長らくネット販売業者と国は争ってきました。ネット販売業者はドラッグストアや薬局などにとって脅威となる存在です。そのため、国に働きかけることでネット販売業者による医薬品の販売に規制をかけてきました。これに対して楽天の三木谷氏やケンコーコムは噛み付いていったのです。

楽天の爽快ドラッグの買収は、医薬品の販売を強化することも狙っているようです。爽快ドラッグは製薬会社の小林製薬が中心となって設立されました。そういった経緯があるため、爽快ドラッグは医薬品業界に強い接点を持っていました。そのため、爽快ドラッグの買収により、楽天は医薬品のラインナップと流通網を強化することができます。

ところで、小林製薬はドラッグストアや薬局と激しく対立した経緯があります。発端は小林製薬が12年9月に第3類医薬品のネット販売を始めたことにあります。そのことに対してドラッグストアの共同仕入れを行う組織、ボランタリーチェーン・日本ドラッグチェーン会が小林製薬に質問状を送付しました。製薬会社がネット販売を始めることに異を唱えたのです。大手のドラッグストアも加勢し、小林製薬の商品をボイコットすると圧力をかけました。結局、小林製薬はネット販売を断念せざるを得ませんでした。

楽天と小林製薬はドラッグストアや薬局と対峙したという共通点があります。楽天は買収した爽快ドラッグを通して小林製薬との結びつきを強める思惑があっても不思議はありません。それにより楽天は医薬品のネット販売を強化し、ドラッグストアや薬局に挑戦していく意図があると推察します。

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