温泉の朝風呂が危ない。入浴前に飲む「1杯の水」が命を救う

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元『旅行読売』編集長・飯塚玲児さんのメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』。今回は、高齢者の自宅内での死因の1/4を占めるとも言われる「ヒートショック」について。そのほとんどが浴室で起こっており、亡くなられた平幹二朗さんや中村獅童さんのお母様もこれが原因と考えられています。さらに、ヒートショックは温泉でも起こりやすく注意が必要とのこと。高齢者入浴アドバイザーという肩書きもあるという飯塚さんが、冬場の入浴に関する注意点を教えています。

冬の入浴リスクについて

先日、(一社)高齢者入浴アドバイザー協会認定の高齢者入浴アドバイザーになったわけだが、たまたま今日、すごい雪が降っているので、寒い冬の入浴のリスクについて書いてみたいと思う。

冬に限らず、入浴にはリスクがあることは以前も書いた。 2015年の交通事故による死亡者数は約4100人だが、入浴に関わる死亡者数は推計で1万9000人に及ぶとされている。 このうち5000人弱は家庭のお風呂での溺死者。 すると、考えようによっては、温泉施設などでの死亡者の方が多いともいえる。

何にしても、交通事故死者の4倍以上の方が入浴に関わる事故で亡くなっているということは知っておきたい。

なぜそんなに多くの方が亡くなるのか。

浴室は滑るので転倒しやすいし、転んで後頭部を強打すれば当然命に関わることになる。 だが、やっぱり死因としては溺死が多い

といっても、いい大人がいきなり溺れるということは考えにくくて、これは入浴中に意識がなくなってしまうから溺れてしまうのである。

なぜ意識がなくなるのか、というと、入浴によって体内に色々な変化が起こるからである。 具体的にいえば、いわゆる脳梗塞や心筋梗塞、のぼせ、血圧や血糖値の急変、心拍数の上昇などなど、である。

入浴前にコップ一杯の水を飲む、というのは、入浴によって血液中の水分が減り、いわゆる「ドロドロ血」の状態になることで心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるのを予防する目的があるわけだ。 約10分間の入浴でかく汗の量は、おおよそペットボトル1本(500ml)ほどといわれる。 だからこそ、入浴前の水分補給が重要なのである。

入浴中に心筋梗塞や脳梗塞を起こせば、それが直接の死因になるばかりか、素早く処置すれば助かる命も、そのまま意識を失って溺れることで手遅れになってしまう。 こうしたことも、冬は気温とお湯の温度差が大きいのでリスクも上がる。 入浴前の水分補給はいっそう意識しておきたいところだ。

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