ブラックバイト訴訟、「しゃぶしゃぶ温野菜」元従業員が暴行で逮捕

 

組織的に「ブラック」が蔓延しているのか

今回の問題が起きた「しゃぶしゃぶ温野菜」はレインズインターナショナルが展開するしゃぶしゃぶ食べ放題の飲食店業態です。レインズインターナショナルは焼肉レストランチェーン「牛角」など飲食店を多角的に展開していることで知られています。

今回の問題が起きたのは、「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」をフランチャイズ運営する「DWE Japan」のフランチャイズ店です。暴行を加えた元従業員や妻の元店長個人に起因する特殊な問題という部分もありますが、一方で組織的な問題と考えることもできます。暴行を加えた元従業員の男性や妻の元店長を管理監督する義務がDWE Japanにあったからです。

さらに、「DWE Japan」はレインズインターナショナルのフランチャイズ契約先とはいえ、「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」といった共通のブランドを共有する企業群に2社は所属します。レインズインターナショナルにとって、他人事では済まされない問題といえるでしょう。特に今の時代はSNSなどで瞬く間に情報は拡散されます。ブランドの毀損や業績悪化に直結する問題となります。一店舗での問題では済まされません。

「ブラック」問題の解決は「教育力」が鍵となる

さて、ブラックバイトやブラック企業の問題を考える上で、企業の教育力」についての考察を外すことはできないでしょう。今回の事件は、倫理的な意識の問題に加えて「従業員の生産性を上げる方法」を知らなかったことに大きな問題があると考えることができます。教育力の欠如が露呈しました。従業員に体系的に仕事の仕方を教える教育力」が企業に問われます。企業に教育力があれば、今回の暴行事件は発生しなかったといえるでしょう。

今回の事件を個人の特殊性だけの問題にしてはならないといえます。「ブラックは許してはならない」といった倫理上の教育に加え、組織全体で健全な生産性の向上を実現させるための教育が必要です。

20世紀初頭まで、企業では非効率な生産や組織的怠業が蔓延していました。立場や示威といったその場しのぎの管理がなされていました。そういった問題を解決するために、フレデリック・W・テイラーは体系的な観察と研究により、サイエンティフィック・マネジメント(科学的管理法)を確立しました。テイラーの科学的管理法により、次第に企業の生産性は向上し組織的怠業は減っていきました。体系的な教育が行われるようになったのです。

今は21世紀です。昔ながらの現場任せの非体系的な組織運営がなされていることに驚きを隠せません。従業員を生かすも殺すも企業の教育次第です。そしてブラック問題の解決も企業の教育次第といえるでしょう。「教育力」が問われます。

 

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著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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