25年前と変わらぬ体質。電通が学ぶべきだったハインリッヒの法則

 

会社には、従業員に対する安全配慮義務や健康配慮義務があります。25年前の「電通事件」で最高裁は、「使用者は、業務遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」と判示しています。

また、労働契約法5条で、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。

わたしは長年、建築現場で現場作業に携わっていました。大手ゼネコンの現場では、必ず、作業前に、その日の作業内容とその作業に伴う危険ポイント、その防止方法を検討します。KY危険予知活動と呼ばれるものです。

今になって思うのは、このKY活動は非常に素晴らしい。これを習慣づけることで、確実に労働災害を減らすことができます。それは、デスクワーク・オフィスワークでも同様です。

仕事において必ず存在するであろう、「ヒヤリとするようなこと」や「軽微な事故」を事前に予知し、回避する方法を立てることで、労働災害は確実に減らすことができるのです。重大な労働災害をゼロにするには、日々の地道な活動が必要です。

小さな事故や事件を、このくらいのこと、この程度のことと甘くみていると、結局、取り返しのつかない事故・事件が発生してしまうことになります。それは、当事者本人とその家族だけでなく、その会社で働くすべての従業員を不幸にします。当然、会社もタダでは済まない。1件の重大災害によって、関係者すべてが不幸になってしまうのです。

それを防ぐためにも、ぜひ、「ハインリッヒの法則」を頭に入れて、日々の業務について考えを巡らせてください。経営者はもちろん、働く人一人ひとりが自分事として考えるべきことです。

 image by: Shutterstock.com
 
 
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