不安しかない年金額を、最大42%もあっさり増せる現実的な裏ワザ

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先日掲載の記事「破綻している年金制度はやめちまえ!で本当に撤廃したらどうなる?」で、年金制度がなくなったら困るということは理解できましたが、満額支給されても生活費のわずかな足しにしかならないというのが年金の現状でもあります。しかし、この支給額を増やすことができるとしたら…?無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、「年金の繰り下げ」で支給額を増やす「裏ワザ」を教えて下さいました。

これからの年金額に不安がある中で、こういう年金の増やし方もある

年金が上がりにくくなり、また、年金保険料を支払った期間が短いとかだとその分低額になってしまう年金。なんだか最近不安になりそうなニュースが続きましたよね。

これからちゃんと保険料を納める事でしか年金は増やせないのかというと…そういうわけでもありません。年金を貰えるんだけど、わざと年金を貰うのを遅らせればその分年金が勝手に増えていく方法もあります。ただ、利用者は少ないですね(^^;;

というわけで、年金を貰うのを遅らせて勝手に増える方法(以下、「年金の繰り下げ」といいます)をやると一体どのくらい増えるのか?

結論から言えば65歳から1ヶ月遅らせる毎に0.7%ずつ増えていき、最大60ヶ月遅らせると42%増えます。だから70歳まで遅らせれば42%増える

※注意

65歳後に初めて老齢年金の受給権を獲得したら、その日から5年間繰り下げが可能。だから、68歳で受給権を獲得したら73歳までOK。

ア. 昭和26年12月21日生まれの男性(65歳。実際に歳を取るのは誕生日の前日である20日になる)。

この人は厚生年金期間が1年以上あり、年金を貰うための全体の年金保険料納付済期間+年金保険料免除期間+カラ期間≧25年以上あるものとします(来年8月からは10年に短縮)。

カラ期間についてはこちらを。
諦めるなかれ。年金を25年納めなくても貰える「カラ期間」とはカラ期間とは?

この人は60歳から老齢厚生年金(65歳前から支給される厚生年金を特別支給の老齢厚生年金という)を年額120万円貰っていました。65歳からは75万円の老齢基礎年金が支給される予定。

65歳前までは偶数月に20万円の年金を貰いながら、他に今まで貯めた貯蓄があり、70歳くらいまでは貯蓄も取り崩しながら生活資金としてはやや余裕ありの見通し。で、今回65歳を迎える事になり、65歳以降も年金を貰うには再度年金請求をしないといけません。65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金を貰うための請求をしなければならないわけです。

請求といってもハガキタイプの簡単な様式の請求書が送られてくるのでそれをちゃちゃっと書いて月末までに返送するだけ。65歳誕生月の初旬までには送られてきます(その月の1日生まれの人は前月の初旬あたりに送付になるので注意。なぜなら1日生まれの人は前月の31日とかに歳を取るので誕生月が異なってくるから)。

で、この時のハガキタイプの年金請求書に、「年金を貰うのを遅らせますか?という意思表示する部分があるんですね(^^;; 繰り下げ希望って書いてるんですが。

というわけで、この男性はしばらくは貯蓄で暮らそうと年金請求書を出すのはやめました。

※注意

老齢厚生年金または、老齢基礎年金どちらか一方を繰り下げる場合は繰り下げたい年金にマルをつけて年金機構に返送してください。両方繰り下げる場合はハガキは出さない

で、どうなるか。1ヶ月遅らせるごとに0.7%年金が増えていきます。70歳まで遅らせるとすれば、60ヶ月遅らせる事になるから、60ヶ月×0.7%=42%増額。よって、

  • 老齢厚生年金なら120万円+(120万円×42%)=120円+50万4,000円=170万4,000円。
  • 老齢基礎年金は75万円+(75万円×42%)=75万円+31万5,000円=106万5,000円。

年金総額は老齢厚生年金170万4,000円+老齢基礎年金106万5,000円=276万9,000円になります。

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