中国による「インフラ投資」のインチキに気づいた各国から非難の声

 

スリランカへの中国資本進出がとくに盛んになったのは、親中外交を展開したラジャパクサ前大統領の時代です。しかし2015年の大統領選でマイトリパーラ・シリセナ氏がラジャパクサを破って大統領に就任すると、中国依存主義を修正しようとしました。インドとの関係改善に動き、前政権時代に決められたコロンボの港湾都市(ポートシティ)計画も環境問題を理由に凍結されました。

しかし、これまでの中国依存が仇となり、中国の融資に対する巨額の利払いなどの問題もあって、結局はコロンボの計画は再開を認めざるを得ませんでした。ハンバントタ港も同様です。

小国にとっては、中国の金銭外交に絡め取られてしまうとなかなか抜けられないという一例です。先日、アフリカの島国であるサントメ・プリンシペが台湾と断交したのも、中国の支援を求めてのことです。

台湾に「断交ブーム」到来か サントメ・プリンシペが断交、バチカン市国が続く危険性

一方で、中国の「支援外交」は世界各地で現地の人々との軋轢を生じさせています。たとえば1月5日には、アフリカ東部のウガンダで、中国国有の建設会社「中鉄七局集団」に対して、ウガンダ人労働者400人以上が経営者によるセクハラ疑惑と低賃金に合議してストライキを行いました。

ウガンダの中国国有企業でストライキ、経営者のセクハラや低賃金に抗議―米メディア

従業員の訴えでは、経営陣からの性的な誘いに応じる女性従業員にだけが給料を支払われ、断った者は支払われない状態が続いており、また、長時間労働や暴力行為も常態化しているということです。

昨年11月にはジョージア旧グルジア)で、中国中鉄23局集団有限公司に雇用されていた地元作業員と中国人作業員との間で集団暴力事件が発生しています。報道では、衝突の原因は中国企業が借りていた土地から地元住民が木材を無断で持ち出したことにあるとされていますが、この衝突で数人が負傷し、中国人3人の身柄が拘束されたそうです。

ジョージアで中国鉄道企業の中国人作業員と地元雇用作業員が集団衝突、中国人3人拘束―露メディア

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