中国による「インフラ投資」のインチキに気づいた各国から非難の声

 

中国の対外インフラ投資を餌にした外交は、さまざまな問題を引き起こしてきました。まず、ひも付きの経済援助なので、インフラ建設については中国企業が一手に引き受けることになります。もちろんそれによって、中国国内で過剰生産に陥っている鉄鋼などを消化する狙いがあります。

さらには、中国から何万人と人員を送り込むことで失業問題を解消させる目的もあります。加えて、中国では習近平政権の反汚職キャンペーンで汚職官僚が次々と逮捕されているため監獄が満杯状態にあり、その解消のために死刑囚らを労働者として海外派遣させています。それによって安い労働力を調達できるということになります。

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しかし、これでは結局、巨額支援がそのまま中国に還流することになりますし、当該国には雇用を生まないことになります。それどころか、建設労働者とともに飲食業者やホテル業者なども中国からやってくるため、むしろ現地の雇用を中国人が奪ってしまうのです。

それが深刻化しているのがアフリカです。たとえばザンビアのサタ大統領は、中国からの駐在者がザンビア人から雇用を奪っていると批判しています。またザンビア人を雇ったとしても「奴隷の賃金だ」と非難しています。

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もっとも、中国や中国人からすればすべては自分のためであって、支援国のためではないのですから、地元無視になるのは当然です。

しかも、中国人はプロジェクトが終わっても中国に帰らずに居座り、親族を呼び寄せて中華街を作り、さらには密輸や密売などの違法行為を繰り返すなど、やりたい放題ですから、現地人との衝突が絶えません。

金の生産国であるガーナでは、そうして大量流入した中国人によって違法な金採掘が行われ、しかも有害物質を使って採掘するので環境破壊が進み、地元住民への水供給もままならなくなったため、2012年にはガーナ政府が100人以上の中国人を逮捕したということがありました。

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アフリカでは象牙の密輸が大きな問題となっていますが、そのほとんどが中国によるものです。ワシントン条約で売買が厳しく制限されている象牙ですが、密猟されて密売されています。しかも、中国軍すらその密売に関わっているので始末に終えません。実際、2013年に中国海軍がタンザニアを訪問した際にも、売買が発覚しています。中国軍は国有企業と組んで、さまざまなビジネスを展開していることはよく知られています。

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