中国による「インフラ投資」のインチキに気づいた各国から非難の声

 

利益中心主義の中国人や中国企業にとって環境保護などどうでもいいことであり、加えていい加減な工事をするため、自然破壊や汚染被害が絶えません。中国国内では水も土も空もひどく汚染され、すでに人間の住めない地になりつつあることは世界の常識ですが、それは公害対策設備に高額な金をかけようとする企業がないからです。そんな中国企業が外国で公害対策などするはずがありません

そのため、アフリカのみならず、世界各地で中国企業の環境破壊に対する地元の反対運動が次々と起きています。たとえばミャンマーの北部カチン州のミッソンダムは現地住民の反対で凍結となりましたし、ミャンマー軍部の企業と中国の国有兵器メーカー北方工業公司との合弁会社が開発する同国北西部のレッパダウン銅山では、抗議活動を行う住民との衝突が頻発し、2014年には女性住民が警察に撃たれて死亡する事件も起きています。

「中国人は出て行け」村民が抗議

ニカラグアでは、中国企業が運河建設を進めていますが、やはり土地収用や環境破壊への抗議行動が活発化しており、反中感情が高まっています。中国がこの運河建設を進めるのは、パナマ運河を無価値化してアメリカと中南米諸国を分断する狙いがあるとも言われています。

怒号飛び交う抗議デモ…中国系企業のニカラグア運河建設の波紋、米もいらだち

現在、中国はペルーに南米大陸横断鉄道を提案していますが、ペルーのクチンスキ大統領は熱帯雨林の破壊や先住民への被害など環境への懸念を表明しています。ペルーにとって中国は主要貿易相手国ですから、あまり無碍にはできないのでしょうが、中国企業にやらせたら間違いなく環境汚染と住民の反発が起こることをわかっているのでしょう。

ペルー大統領、中国の南米大陸横断鉄道計画に懸念を表明

さらに中国政府および中国企業の問題点は、破格の経済支援や格安の工事引き受けをぶち上げるのですが、実現の段になるとそれを安々と反故にすることです。かねてより本メルマガでも論じているインドネシアの高速鉄道では、中国開発銀行が融資認可を下さないため、着工が遅々として進んでいません。しかも土地収用も6割程度しか済んでおらず、前途多難です。

中国受注高速鉄道、融資認可待ちで着工足踏み

2012年に完成する予定だったとされるベネズエラの高速鉄道も、中国が採算無視で受注したものの、結局は工事が続けられず、ほとんど放棄された状態になっています。すでに中国側の建設スタッフはほとんど撤退しており、建設現場に残された金目のものは現地住民に持ち去られてしまったという悲惨な状況のようです。

ほぼ放棄!中国受注のベネズエラ高速鉄道計画、インドネシア「日本に任せれば良かった?」

これも以前のメルマガで書きましたが、私が2013年に訪れたポーランドでも、中国企業が受注した高速道路建設が頓挫し、ブツ切れ状態のまま放置されていました。この高速道路はワルシャワと各地を結び、さらにはドイツまでつなぐ計画で、2009年に中国海外工程(COVEC)が欧州企業の6分の1という破格の費用で落札したものです。当初は中国企業によるEU初の大型インフラ受注ということで注目を集めましたが、結局、採算が合わずに途中で工事が中断していたため、2011年、ついにポーランド政府は同社との契約破棄を通告したのです。

中国、欧州高速道建設が頓挫 資金繰り悪化

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