日本は中国を軽視するな。ダボス会議でわかった習近平の真の狙い

 

先日スイスで開催されたダボス会議で、「グローバリズム絶対支持」を表明する演説を行った中国の習近平国家主席。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、「中国はかつて取った傲慢な態度が原因で世界の支配者層にそっぽをむかれてしまった過去を反省し、今一度信頼を取り戻そうとしたうえの演説内容」と見ています。さらに、グローバリズムが続くことによる中国のメリット、そして日本が決して中国を甘く見てはいけない理由についても記しています。

習近平、ダボス会議で、世界の支配者層に取り入る

世界中から政界、ビジネス界の超エリートがスイスに集結する「ダボス会議」。ここで習近平が1月17日、演説しました。なんと、「グローバリズム絶対支持演説

習近平、「グローバリズム絶対支持」を表明

習主席、保護主義に警鐘 トランプ新政権にらみ、ダボス会議で講演

AFPBB News 1/18(水)9:37配信

 

【1月18日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は17日、スイス・ダボス(Davos)で開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演し、世界が抱える諸問題の責任をグローバル化に転嫁したり、保護主義の殻に閉じこもったりするべきではないと警鐘を鳴らした。

なぜ、こんな演説をしたのでしょうか? 一つは、中国がグローバリズムの恩恵を受けやすい国」だからでしょう。どういうことでしょうか?

「グローバリズム」が進むと、「人、物、金の行き来」が自由になっていきます。中国経済は輸出でもっているので物の行き来が自由な方がいい他国の関税が低い方が嬉しい

人の行き来はどうでしょうか? 中国は、GDP世界2位の大国ですが、一人当たりGDPは、まだまだ低い(2015年、8,140ドルで世界76位。日本は、3万2,478ドルで世界26位。中国は、日本の約4分の1)。それで、中国人は、職、高給を求めて、どんどん外国に出て行ってしまう。

しかし、中国政府は、「それでいい」と考えている。たとえば、中国人が日本に1,000万人引っ越した。それだけで中国は、日本への影響力を確保できるのですから、嬉しい。「外国人参政権」を認めさせれば、かなりの政治的影響力を確保できるようになるでしょう。いずれにしても、中国は「人の行き来が自由になることで恩恵を受ける立場にある。

「金の移動が自由になること」については、複雑ですね。現在、中国からどんどん資金が流出しているので、制限を加えています。

何はともあれ、中国は「グローバルリズムの恩恵を受ける立場」にあるので、習近平は、「グローバリズム支持」を語った。

トランプに対抗する

もう一つの理由は、「反中のトランプに対抗すること。

米新大統領への就任を数日後に控えたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏とは異なる世界経済像を打ち出した形だ。米国は数十年にわたり世界の経済秩序をけん引してきたが、トランプ次期大統領はこれまでの慣習を破り捨てることも辞さない構えを示している。これに対し習氏は、初めて出席したダボス会議の場で、グローバル化の流れに逆行はできないと訴えた。
(同上)

トランプは、就任前から台湾の蔡英文総統と電話会談している。そして、「一つの中国」の原則を見直す可能性に言及している。困った習近平は、「俺の方がトランプよりマシだぜ!とアピールした。

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