500円定食で常識を覆す。九州で話題「喜楽や」の低価格戦略を分析

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ビジネスマンや家族連れにとって、安くて待たずに食べられる飲食店は大変魅力的ですよね。そんな方々から支持を受け、順調に業績を伸ばしつつあるのがレストランチェーン「ジョイフル」の新業態である「喜楽や」。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、その好調の裏にある戦略・戦術を詳しく分析しています。

低価格を維持するということ

低価格の定食で注目されている企業を分析します。

喜楽や(食事処)

「喜楽や」はレストランチェーン「ジョイフル」の新業態です。

戦略ショートストーリー

ビジネスパーソン(時間がない、安さ重視)をターゲットに「レストランチェーン『ジョイフル』のノウハウ」に支えられた「安い」「待たずに食べられる」という強みで差別化しています。

リーズナブルな定食メニューを取り揃え、「ごはん」、「みそ汁」、「キャベツ」、「漬物」、「コーヒー」、すべてお替り自由という圧倒的なお得感で、顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

低価格を維持するということ

安売り(低価格)戦略は、短期的にはできたとしても、長期的に維持することは難しいです。なぜかというと、人件費や材料費、賃料などのコストが想定よりも上がる可能性があるためです。

「喜楽や」は、すべての定食が税込み500円となっていますが、長期的にこの価格を維持できると判断したからこそ、出店に至ったと思われます。なぜなら、長期的に維持できない、将来的に値上げするのであれば、「美味しい食事を税込み500円で提供」という売り文句がマイナスに作用することになりますからね。

どのような作用かというと、顧客に「500円定食」というイメージが定着した後で、値上げすると、どうしても割高感が生じてしまい、客足が遠のいてしまうということです。つまり、「喜楽や」は500円という定食の価格を維持できる自信があるからこそ出店したということです。

では、この自信はどこからくるかというと、ひとつは歴史です。創業から約40年たつ企業ですが、創立以来、「地域で一番安価で一番身近なレストラン」を目標にかかげ、活動してきたそうです。約40年の歴史の中では、低価格を維持することが難しい状況もあったと思われますが、そのような困難も乗り越えてきたわけです。こういった経験があるからこそ、500円定食という困難なチャレンジに対しても自信をもって取り組むことができているのでしょう。

もうひとつは、テストマーケティングです。「喜楽や」を出店する前に、実験店舗として同じようなメニューを扱う「はらぺこ丸」というお店を展開していたようです。この「はらぺこ丸」での実験をとおして、自信を深めていったと思われます。「はらぺこ丸」にて実績を残しながらも、「喜楽や」出店時には、「はらぺこ丸」にはなかったカフェテリア方式を導入したようです。これは、より成功確率を高める低価格を維持するために、とられた打ち手といえるでしょう。

上記のように、多くの経験やノウハウを持ちながらも、慎重に実験しながら出店の準備を進めるあたりは素晴らしいですね。今後の成長に期待していますし、ぜひとも東京に進出していただきたいですね。

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