年金はもう減らされている。物価下落を理由に4月から支給額を減額

 

例えば、今年7月の賞与支払い無しだった場合

給与30万円で、直近一年間に貰った賞与の合計を12で割った額(平成28年12月に貰った賞与36万円÷12)が3万円になり、老齢厚生年金月額11万円と合計すると44万円になります。

つまり、44万円<46万円となるので年金のカットは7月分からは行われなくなるというわけです。

7月分から年金額が変わるから8月15日年金振込分から変わってくる。

ところで、なぜ平成29年度は支給停止調整額が47万円から46万円に下がったのか。

これも、物価変動とかに影響するんですね~(^^;;

支給停止調整額の計算式は以下になります。

「48万円×平成17年度以降の名目賃金変動率」

名目賃金変動率の内訳は、前年度物価変動率×実質賃金変動率(平成25年度~平成27年度の平均)となります。

参考までに前年度の支給停止調整額を計算すると、

48万円×1.003(平成17年度)×0.996(平成18年度)×1.002(平成19年度)×0.998(平成20年度)×1.011(平成21年度)×0.976(平成22年度)×0.980(平成23年度)×0.986(平成24年度)×0.996(平成25年度)×1.005(平成26年度)×1.025(平成27年度)×1.000(平成28年度)=46万9,087円(5,000円未満端数切り捨て、5,000円以上1万円未満の端数切り上げ)≒47万円

しかし、この間の厚生労働省発表の最新の物価変動率が0.1%下がり実質賃金変動率が0.8%下がりました。つまり、物価変動率は0.999で、実質賃金変動率は0.992って事。という事は名目賃金変動率は物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992=0.991となります。よって、平成29年度支給停止調整額は、上記の46万9,087円×平成29年度名目賃金変動率0.991=46万4,865円。

5,000円未満は切り捨てるから、46万円になったわけです。

まあ…年金はいろいろ物価や賃金の変動に毎年影響するわけですね(^^;; これから経済が良くなっていけばいいんですが…。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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