敵兵にも義足を送った、明治天皇の皇后「昭憲皇太后」の慈悲心

jog20170211
 

明治天皇のお后であった昭憲皇太后が社会福祉に尽力され、資金の下賜だけでなく、自ら率先してさまざまな活動をなされていたことをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、著者の伊勢雅臣さんが、昭憲皇太后の「近代日本の社会福祉の礎」になったとも言える数々のご活動を、印象深いエピソードとともに紹介しています。

昭憲皇太后と「Empress Shoken Fund」

その写真には、十数人の黒人青年たちが笑顔で賞状らしきものを胸の前に掲げて映っている。揃いの白いTシャツには、王冠とドレスをまとった女性の写真がプリントされている。その写真の下には「Empress Shoken」との文字が見える。明治天皇のお后であった昭憲皇太后である(明治天皇御存命中は「皇后」であるが、以下、「皇太后」に統一する)。

ここは南太平洋のバヌアツ。ニューギニアから南東に3,000キロ離れた所にあり、合計面積では新潟県ほどの83の島に、約24万人の人々が住んでいる。

青年たちが手にしているのは、救急法災害対策人道支援のあり方などを教える「いのちの教育」の修了証書である。バヌアツでは貧しくて教育も受けられず、勤め先も限られているので、学校にも行かず仕事もしない若者が多かった。その結果、麻薬や酒の誘惑に負け、犯罪に手を染めるケースも少なくない。

「いのちの教育」は、台風や洪水の頻発するこの国で、若者に災害救助などを教え、社会に役立つ存在になることで若者自身を立ち直らせようというプロジェクトである。合計で216名の青年が受講した。「赤十字の活動に参加することで、他人を助けることができるし、そのことで自分をコントロールできるようになった」と一人の青年は語る。

かつてのマリファナ常習犯が警官になった、という例もある。また自発的にお年寄りを助けるボランティア活動を始めた若者たちもいる。彼らが活動時に着るユニフォームが、この昭憲皇太后のTシャツなのである。このプロジェクトは2011年に「Empress Shoken Fund(昭憲皇太后基金)」から約400万円の助成を得て実行されたものだった。

The Empress Shoken Fund (昭憲皇太后基金)

この基金は、昭憲皇太后が明治45(1912)年に国際赤十字に下賜した10万円現在価値で約3億5,000万円をもとに創設され、その利子を用いて、現在までに、戦時中の昭和19(1944)年を除いて100余年に渡って、世界161カ国以上に総額約11億円が分配されてきた。

発足後も皇室や日本政府、明治神宮などが寄付を続け、現在では基金総額は18億円以上となっている。助成プロジェクトの選定結果は、毎年4月11日、昭憲皇太后のご命日に、スイスのジュネーブに本部をおく赤十字国際委員会から発表される。

イギリスの文学者ワエリクス・バウマンは著書『日本の少女』の中で、次のように述べている。

皇后陛下は、日本の新しい時代を切り開くためにご努力されたばかりでなく、貧しい人々の救護や、その他の慈善事業に対して、たいへんなご努力をなさった。皇后さまの最大のご功績は、社会福祉の精神を日本の社会に根付かせたことにある。そして、赤十字事業の国際的な発展の陰にも、皇后陛下のご援助を蒙っているところが大きいのである。

今回は、昭憲皇太后がどのようなお考えで、こうした努力をされたのか辿ってみよう。

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