日本は利用される。突然「一つの中国」を認めたトランプの思惑

kitano20170214
 

先日掲載の記事「騙されるな日本。いつから米国は「信用できる国」になったのか」で、「米中首脳会談でのトランプ大統領を手放しで信用し、アメリカ盲従主義に陥るのは危険」と警鐘を鳴らした無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さん。今回は、米中首脳会談の直前に突如として中国と「和解」したトランプ大統領の不可解な行動を取り上げ、「日本が利用される可能性」について持論を展開しています。

トランプ、「一つの中国」を認める

大統領就任前から、中国とガンガンやりあってきたトランプ。先日、大きな譲歩をしました。「一つの中国を認めたのです。

革命的だった、トランプと蔡英文の電話会談

2016年12月2日、全世界に衝撃が走りました。なんと、トランプが台湾の蔡英文総統と電話会談をした。

<トランプ氏・蔡氏>米中関係の緊張必至…断交後初の協議

毎日新聞 12/3(土)22:28配信

 

【ワシントン会川晴之、台北・鈴木玲子、北京・石原聖】トランプ次期米大統領は2日、台湾の蔡英文総統と電話協議し、安全保障などの「緊密な結びつき」を確認した。政権移行チームが発表した。

それにしても、トランプさんと蔡英文総統が電話で話すと、なぜ中国は激怒するのでしょうか?

中国は台湾を主権国家とは認めておらず、台湾を中国の一部と主張する「一つの中国」原則の順守を米国に求めてきた。トランプ氏が台湾独立志向の強い民進党の蔡氏と安全保障問題を協議したことで米中関係の緊張は必至だ。

 

米メディアによると、就任前を含めて米大統領が台湾総統と電話で協議したことが公になったのは、米台が国交を断絶した1979年以降では初めて。
(同上)

アメリカ大統領が台湾総統と電話で協議したのは、国交が断絶した1979年以降、初めて。37年ぶりということで、トランプさんの行動は、「革命的」だったことがわかります。中国は、激怒し、抗議しました。

中国外務省の耿爽(こう・そう)副報道局長は3日、「米国の関係方面に厳粛な申し入れを行った」との談話を発表し、抗議したことを明らかにした。その上で「一つの中国は中米関係の政治的基礎。中米関係が不必要な妨害を受けないよう促す」として、歴代米政権の「一つの中国」政策を継承するようトランプ氏に求めた。
(同上)

すると、早速次のリアクションが出てきました。12月5日AFP=時事から。

トランプ氏は4日夜、ツイッターに「中国は彼らの通貨を切り下げること(つまり米企業の競争を困難にすること)、中国向けの米製品に重税を課すこと(米国は中国製品に課税していないのに)、南シナ海(South China Sea)のど真ん中に巨大軍事施設を建設することなどに関して、われわれに了承を求めたか? そうは思わない!」と投稿した。

「トランプにとっては、米中政府の合意事項である、『一つの中国』すら、ディールの対象なのだな~~~」と驚いた人も多かったことでしょう。

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