驚異の純益8割増。楽天が真似できない「ZOZOTOWN」高成長のカラクリ

 

ゾゾタウン独特のビジネスモデルも成長の原動力となっています。ゾゾタウンの収益構造は一般的な企業とは異なります。売上高は、テナント形式で出店している店舗から手数料を得る「受託販売で約9割を占めます。受託販売の売上高は各店舗の商品取扱高に受託手数料率を掛けることで算出されます。受託手数料率は28%程度とみられます。

ゾゾタウンのビジネスモデルは仮想商店街の楽天市場に似ていますが決定的に異なる点があります。それは物流の仕組みです。楽天市場では一部を除いて商品の発送は各店舗が行います。一方、ゾゾタウンでは各店舗の商品を自社の物流施設で預かります。そして保管、写真撮影、梱包、発送までの一連の作業を全て代行します。

物流の仕組みの違いは手数料率に表れています。楽天市場は各店舗の売上高の2.0~7.0%のシステム利用料(加えて1万9,500~10万円の月額出店料がかかる)を受け取っています。ちなみにアマゾンは15%が中心の出品手数料を受け取っています。ゾゾタウンの受託手数料率は先に述べたとおり約28%で、競合と比べて高い受託手数料率を実現できています。

これはファッションEコマース企業ならではといえるでしょう。アパレル製品は物流施設で在庫化することができるからです。楽天市場の場合はそうはいきません。食品や飲料といった長期的な保存が難しい製品を扱うからです。アマゾンのようにできなくもないですがハードルは高いでしょう。ゾゾタウンは保存がきくアパレル製品に特化しているのでその利点を最大限に生かしているといえます。

さらに、ゾゾタウンは受託販売がほとんどのため在庫を持つことによる売れ残りなどのリスクが生じません。在庫の所有権は各ブランド提供企業にあるからです。ゾゾタウンは大量の在庫を抱えているにもかかわらず在庫特有のリスクがないのです。

ゾゾタウンが高度な物流機能を擁していることはブランド提供企業にとっては非常に魅力的です。規模が大きい企業は別ですが、小規模の企業が商品の保管や梱包、発送を行うことは大きな負担です。Eコマースで安定した需要があればいいのですが、不安定な場合は作業効率の悪化とサービス品質の低下を招いてしまいます。注文が突発的に増えた場合、人員を確保することが困難です。逆に注文が少なければ無駄な人員が発生してしまいます。

ゾゾタウンが物流機能を一手に引き受けることでブランド提供企業の負担感は低減されます。一部の企業で多量の注文が入っても、注文が少ない企業が他に存在することで作業量が平準化するからです。大規模物流ならではのメリットといえるでしょう。

ゾゾタウンが物流を一括で行うことで商品の到着日時の短縮化にもつながっています。作業効率が高まるため迅速な出荷が可能だからです。「即日発送サービス」という即日配送するサービスも可能にしています。即日発送を小規模の企業が行うことは困難でしょう。これも大規模な物流機能を持つゾゾタウンならではのサービスといえます。

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