街角に急増中。黄色い激安自販機はなぜ1本50円で販売できるのか?

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街角でひときわ目を引く黄色い激安飲料の自動販売機を利用されたことがある方、多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、著者の青山烈士さんをして「非常に重要なことを改めて認識させられた」と言わしめた、この激安自販機での販売を手がける企業の戦略が詳しく紹介されています。

失敗から学ぶ

首都圏に増えている低価格自販機で注目されている企業を分析します。

ミリオン(激安自販機の設置販売)

戦略ショートストーリー

価格を重視する方をターゲットに「独自の仕入れルート・ノウハウ(売れる商品の目利き力)」に支えられた「安い」「種類が豊富」という強みで差別化しています。

様々な大手メーカーの商品を取り扱いながらも、50円~100円という圧倒的なお得感と黄色で目立つデザインの自販機で、顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

失敗から学ぶ

ミリオンには「安さ」や「種類の豊富さ」といった強みを支えるコア・コンピタンスとして、独自の仕入れノウハウがあります。このノウハウとは具体的には、メーカーとの交渉の際に、売れる商品を見極める力と自社の販売能力を見極める力です。

メーカーが、パッケージ変更にともなう旧パッケージの在庫や賞味期限が近い在庫など、自社の販路でさばききれない在庫を抱えた場合、卸や小売店に相談することが多いです。メーカーとしては、作った商品がムダになる(捨てる)ことを避けるために、多少安くしても、引き取ってもらいたいわけです。ですので、小売店側としては、通常より安く仕入れることができることは、メリットになります。

一方で、デメリットとしては、賞味期限が近い商品を仕入れる場合、想定より売れ行きが悪かった時には、自社で処分しなければならず、せっかく安く仕入れたものが、自社の損失につながってしまいます。

私も社会人なりたての頃、小売店の仕入れの経験がありますが、このような場合、その商品の魅力と自社の販売力を見極めながら発注数を決める必要があります。私の場合は、経験もなく見極める力もなかったので、問題なく販売できるであろう安全な数量を発注していました。見極める力があれば、大量発注してより安く仕入れることができていたでしょう。

メーカーとしても、一度に大量に在庫がさばけた方がうれしいですから、価格の交渉に乗ってもらいやすいです。

今回のポイントは、コア・コンピタンスは一朝一夕では構築できないということです。

ミリオンは大量に仕入れた商品が、まったく売れなかったことを経験してきたようです。こういった失敗を経験せずに、自社の強みを支えるようなコア・コンピタンスを育てることは難しいです。多くの試行錯誤を重ねているからこそ、他者が真似できない、競争優位の源泉となるコア・コンピタンスとなるわけです。

「失敗は成功のもと」と言いますが、言い換えると、多くの試行錯誤が成功につながるということです。そして、チャレンジするような行動を起こさなければ試行錯誤は成り立ちません。

今回は、ビジネスパーソンにとって非常に重要なことを改めて認識させてくれる事例でした。今後のミリオンの躍進を楽しみにしています。

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