元記者が怒りの告発。朝日新聞に「誤報」が掲載されてしまった訳

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「事実」をありのままに報じるべき新聞が、自社にとって「都合の悪い事実」を歪めて報じているとしたら、私たちは一体何を信じれば良いのでしょうか。今回の無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、元・朝日新聞の記者、長谷川熙(ひろし)氏の著書『崩壊 朝日新聞』を引きながら、朝日新聞の「真実」と「事実」に迫ります。

朝日の「真実」、ブンヤの「事実」~長谷川熙『崩壊 朝日新聞』より

本誌にも登場いただいた朝日新聞OBで『ブンヤ暮らし三十六年 回想の朝日新聞』の著者・永栄潔氏が、最近の対談本『こんな朝日新聞に誰がした?』で、面白い発言をしている。

朝日新聞綱領に「真実を公正敏速に報道し、評論は進歩的精神を持してその中正を期す」とは言っても、「事実という語は一切ないとして、こう指摘する。

日本には、社会や歴史の「真実」を読者に伝えようとするいわゆるジャーナリストと、「事実」をできるだけ正確に伝えたいと願っているブンヤと、二種類の記者がいる。思うに、…朝日には前者型が多い。
(『こんな朝日新聞に誰がした?』長谷川熙、永栄潔・著/ワック)

対談の相手は、同じく朝日OBの長谷川熙で、その発言に、朝日にもこんな硬骨漢のブンヤがいたのか、と驚かされた。

取材時間が限られた新聞記事では、事実の誤りはどうしても避けられず、長谷川氏はその都度、訂正を出してきたが、それが出来なかったケースが二つあるという。一つはある事実の年月日が取材相手の記憶違いで間違っていたこと、もう一つは長谷川氏自身の確認不足で、自殺したある県庁役人のその時点の肩書きが違っていたこと。

前者は過ちが分かったのが記事掲載からだいぶ経っていたこと、後者は、副編集長からその程度の違いなら、と訂正が見送られたのだが、長谷川氏は今にいたるも、その間違いについて苦しい思いが消えないという。

「虚報を裏付けも取らずに紙面に載せ続け」

これほどの職人気質のブンヤ長谷川氏にとって、平成26(2014)年8月5日の朝日新聞朝刊の「従軍慰安婦記事取消しは、どうにも許せない事だったようだ。こう断言する。

内外に深刻な影響を及ぼしてきたその虚報を、そもそも裏付けも取らずに紙面に載せ続け、その報道に各方面から疑問が高まってからも長く放置してきたことに一言の詫びもなく、問題は、長年にわたり報じてきた官憲の強制連行ではなく、慰安婦が存在したというそのことであると話をすり替え、開き直っていたのである。

 

この威張り返った、そして物事をごまかす態度に愕然(がくぜん)とた。…この8月5日をもって最終的に新聞の実質は終わった、崩壊した、と感じた。
(『崩壊 朝日新聞』長谷川熙・著/ワック)

しかし「大地震が発生するのも、それを引き起こす歪(ひず)みが地殻に蓄積しているから」で、その「長年の歪み」を解明するために丹念に事実を追ったのが著書『崩壊 朝日新聞』である。氏はそこから朝日の本質をあぶり出していく。

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