【NASA】地球サイズの「太陽系外惑星」7つ発見と衝撃発表

 

地球に似ている惑星たち

話を元に戻そう。TRAPPIST-1に近い6個の系外惑星は、質量が地球の0.4〜1.4倍半径が0.77〜1.13倍の範囲に収まることが分かった。非常に地球に似通った惑星であることがうかがえる。

ただし、これらの系外惑星は主星であるTRAPPIST-1にきわめて近いところを周っており、その公転周期も1.5〜12日間と驚くほど短い。それでも、TRAPPIST-1e、TRAPPIST-1f、TRAPPIST-1gなどは地球ー太陽間に比べて主星に20倍以上も近づいているにもかかわらず、地表に液体の水を維持しうると考えられている。これは、TRAPPIST-1が太陽に比べるときわめて低温の赤色矮星であるため、TRAPPIST-1との距離が近くても、惑星はさほど熱くならないと考えられるからである。

ただし、TRAPPIST-1と距離が近すぎるため、これらの系外惑星たちは「潮汐ロック」により、惑星の半面が常にTRAPPIST-1を向いており、もう片方の半面はその反対の方向に面していると考えられる。つまり、片方は常に昼で、もう片方は常に夜という環境である。これは、月も同じ。このような環境が、地球とはだいぶ異なる。

こういった環境条件の惑星は生命が棲むには厳しいかもしれない。だが、惑星上に局所的に適度な環境があれば、そこに生命がいてもおかしくはないだろう。

今後は大気を分析

今回の研究により、TRAPPIST-1の系外惑星群の「第二の地球」モデルとしての魅力がいっそうと深まった。今後のアストロバイオロジーの研究対象として、これらの系外惑星のベールがさらに脱がされていくことだろう。

今後、既存の地上や宇宙の望遠鏡により、これらの系外惑星の大気を分析していくことになるはずだ。トランジット分光法という方法により、系外惑星の大気を透過した主星の光を分析することで、大気のどの物質が光を吸収したかを推定できる。とくに、2018年に打ち上げられる予定の次世代宇宙望遠鏡James Webb Space Telescopeにより大気組成の詳細な分析がなされるだろう。

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希望的観測だが、もしもこれらの系外惑星に水や酸素やメタンなどが同時に見つかれば生命存在の可能性が格段に高まる。これらの分子は、生命活動による積極的な供給がないと、共存できないと考えられているからだ。植物のサインなどキャッチできれば、これは大変なことになる(次世代宇宙望遠鏡のスペックでどこまで高い精度のデータが取れるかは不明だが)。

いずれにしても、宇宙探査は今後ますます生命探査と同義になっていくだろう。太陽系外でも太陽系内でも生命が存在する大きな証拠が得られれば、それは人類の思考の根幹に計り知れない影響を与え、価値観の大転換を促すはずだ。その瞬間が訪れるのがあと10年なのか20年なのかは、誰にもわからないが。

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