沈みゆく東芝。現実味を帯びてきた、数万人規模のリストラ計画

 

今は出血防止に必死。将来は?

今は出血をいかに防ぐかに全力を尽くしているが、問題は稼ぎ頭の分野や将来の有望分野を売却した後、今後の東芝は何を柱に再建していくのかという問題だ。綱川社長は「社員たちの心が折れないように全員で頑張っていく」と決意を述べているが、再建戦略を描けるかどうかだ。

残った事業の中では社会インフラやエレベーター、鉄道、車部品、空調などのほかフラッシュメモリー以外の半導体事業IOT(あらゆるものがネットにつながる)などでイノベーションを目指し、収益をあげられるかどうか。

かつては家電、重電業界の雄として電機メーカーのトップに立っていたが、今後はライバルだった日立の売上の半分位の規模になる可能性が強い

本稿で私は数年前から何度も「大動乱時代」が来ると書いてきたが、経団連会長を輩出し財界のリード役だった名門・東芝があっという間に転落する様を見るにつけ、現代という時代の恐さと経営者の責任の重大さを改めて感じる。

(TSR情報 2017年2月21日)

 

 

嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」 』

【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け