在米日本人作家が警告する、トランプ・リスク「最悪のケース」

 

――閣僚のメンバーも決まり、どういった政権運営を行っていくかに注目が集まるところですが、冷泉さんはトランプ政権の当面の問題点は、どういったところだとお考えですか。

冷泉:閣僚の顔ぶれに関しては、アメリカに住んでる人間にとっても、あまり馴染みがないから、どうなるんだろうっていうのはみんな思ってると思いますよ。

ただ現状、すごく困ってるアメリカ人って多くて、特に中西部に住んでいる白人たちは仕事がなくて、相当行き詰っているんです。トランプさんは、そういう人たちにとって希望の星だって言われて、それで大統領にまでなったんですが、今回閣僚になった人たちはほとんどが億万長者で、お金がザクザク余っているような人たちばっかりじゃないですか。だけど、とりあえずトランプさんを支持した人たちは、その点は我慢している。「彼らは億万長者かもしれないけど、少なくてもオバマやヒラリーのようなエラそうにキレイごと言うやつらとは違うから、何か壊してくれるだろう」って思っているんでしょう。

その辺は「水と油」といったところがあるんですよね。日本にとってすごく気になるドル円の為替相場でいえば、トランプさんが当選してからは「強いアメリカ、強いドル」で、円安で来てるわけじゃないですか。ただ私としては、トランプさん自身が「中国は為替操作をしていてけしからん」とか言ってるし、やっぱりアメリカの輸出を伸ばすんだったら、ドル安に持っていくのかもしれないなと思っていて、案の定そういう発言もあったんです。ところが、財務長官に内定したムニューチンさんはドル高でいくんだ」って言ったわけですよ。これって完全に矛盾してますよね。

でも、ひとつのことが矛盾してるからといって、それで政権運営が停滞してしまうわけではなくって、このままずっと矛盾を孕んだまま進んでいくでしょう。

――そもそもトランプ大統領は、「水と油な2つの支持層を抱えているということですが、その問題に関してはどのように折り合いを付けていくんでしょうか。

冷泉:そうですね。2つの支持層のうちのひとつは、仕事がなくて困ってるすごく貧しい人たち。「有色人種ばかりいい思いをしてて、自分たちは白人なのに苦労している」みたいな。そういう人たちは、トランプさんがとにかく何かしてくれるだろうと思ってて、「とにかく仕事をよこせ」「健康保険をもっと安くしろ」「公的年金ちゃんと支給してくれ」とか思ってるわけです。

ところが共和党の本流の人たちは、みんな億万長者だから「大企業を優遇しろ」「税金を安くしろ」「福祉もカットで」って思ってますし、世界中からお金がザクザク集まってきて、投資銀行が大儲けするから、ドル高も大歓迎なんですよ。

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そうなると「どっちの意見を聞くんだ?」って話になるんですが、立場がいよいよヤバくなったら、お得意のパフォーマンスでウヤムヤにするんですよ。CNNの記者とかに「おい、おまえ何だ」ってイチャモン付けたり、あるいはロシアのホテルでの一夜が……とかいうネタを小出しにして、「そんなん違う」っていうやり取りをしたり。あとは、娘さんや奥さんが突然出てきたりとか……。そういうことの繰り返しが当分は続くような気がしますけどね。

当然そんなんじゃ、どこかで破綻するんでしょうけど、彼もバカじゃないですからね。トランプさんというのは、まったくもって真面目な男じゃないですけど、頭はいいですから。あんな「行き詰まったら破産でチャラ」みたいな、いいかげんな企業経営をして来たにもかかわらず、とりあえず生き残ってますからね。だから、このままゴマ化しゴマ化しで進んでいっても結果オーライってことになる可能性も無きにしもあらずかもしれません。……ただやっぱり、半々以上の確率でコケるような気がしますけどね。

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